ぽぽ誕2023【朝】 深く沈んだ水中から水面に上がるような、意識と意識の息継ぎのような、ふわふわと漂う感覚がふと現実へと顔を覗かせる。
乱歩が覚醒と共に目を開ければ、目の前には福沢の顔が在った。前髪を掻き上げられ、其の延長線の様に頭を緩く撫でられている。
「……済まん、起こしたか」
「……ふ……くざ……さ……っ?」
眠りから覚めた直後の回らない頭で反射的に名前を呼ぶ。視界に入ってきた時計は午前零時弐分。
どうやら福沢の様子から推測するに、現へと引き戻された切っ掛けであった額に軽く落とされた違和感は気の所為では無かった様だ。
「……どう、したの?」
「起こすつもりは無かったが、お前の無病息災と永寿嘉福を祈っていた」
「……そう云うのは……直接、云ってよね」
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