Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    qnr_iu

    シンアス置き場

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 6

    qnr_iu

    ☆quiet follow

    岡山シンアス

    丸呑み これで三本目。大口を開けて串に刺さった団子のてっぺん、通算七個めにかじりつこうとしているシンを見ていると彼の丸くて大きな赤い瞳とかち合う。
    「アスランも食べます?」
     シンの、口の中に入る前のそれをそのまま向けられたので、遠慮なくいちばん上に刺さった団子を食べる。前屈みになると落ちてくる髪を耳にかけながら、そろそろ切らないといけないななんて考えているとシンがわなわなと震えてから叫ぶ。
    「な、なにすんだあんた!」
    「お前、全部食べると怒るだろ」
    「そんなに卑しくないです!」
     行儀が悪いと思うけれど咀嚼しながら答えると間髪入れずに返事が飛んでくる。
    「じゃなくて!串ごと受け取れよ!」
    「手が埋まってるからな」
    「あんたの手は一本しかないんすか!?」
     放っておくとずっと怒鳴り続けそうなシンに辟易して俺は右手に持っていた三色団子の串を彼の口へ近づける。
    「食べませんよ」
    「そう言うなって」
     頑なな言葉を放ったあとからその唇は真一文字に結ばれて今日の営業は終了ですとばかりにシンはぷいっとそっぽを向いた。あいにく諦めの悪い俺は笑いながらその唇にぐりぐりと桃色の団子を押し付けてみる。眉間に皺を寄せ睨みつけてはくるものの生意気な口は開けずにいるシンを見るのはとても愉快だ。
    「ほら、変な意地をはるのはもうやめろ」
     勝ち誇って笑って見せると彼は最大級に不快だという顔をしてみせて、犬歯が見えるくらいに口を開いて串に噛みついた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    qnr_iu

    DOODLE種自由時空シンアス
    Bittersweet「アスランってあんたの服装、意外と注意しないわよね」
    「それ思ってたぁ!規律とか厳しそうなのにねぇ」
     デザートのムースをすくっていたスプーンをいつも通り着崩した胸元に向けられてシンは苦い顔をする。もちろん淹れたてのコーヒーの味によるものではない。ランチタイムで賑わうカフェテリアの一角、久しぶりのホーク姉妹の水入らずにシンは巻き込まれている。
     ミレニアムは現在オーブに停泊していて、モビルスーツ各機と技術部ならびに隊長はモルゲンレーテの工廠に篭りきりだ。各パイロットには休暇が与えられているがオーブに拠点を持たないシンとルナマリアは手持ち無沙汰だった。そんなとき、現在はオーブ軍所属ターミナル出向中のルナマリアの妹メイリンが、彼女曰く艦長へのお使いがてら、姉のもとに現れた。射撃場で訓練規定をともにこなしていたシンも有無を言わさずランチに連れ出されることとなったが、食事を終えても続けられる姉妹の四方山話に良い加減辟易している。アカデミーの同期の噂、最近のオーブで流行のスイーツ、プラントに新しくできたショッピングモールの話題を経て次はシンに関心が向いたらしい。騒ぎ立てる二人を前にシンは出来る限り話を振られないようカップを傾けることしかできない。そうして気配を消していたところで頭上から穏やかな声が降ってきた。
    1673

    qnr_iu

    DOODLEバレンタインのシンアス
    幸福の庭 たしかに頼って欲しいと思っていたし抱え込みすぎないでくれと願ってもいたのだ。しかしこの頃の隊長のシンへの職務丸投げっぷりは常軌を逸しているとしか思えない。モニタの前でううんと唸りながらシンは頭を抱えた。進まない報告書、積み上がる指令書、経費の精算書類、部下の指導案。どう考えてもシンの領分ではない案件まで運ばれてくるものだから弱ってしまう。
     本来の担当者であるヤマト隊長は先刻、にこやかに「あとはよろしくね〜」と退勤してしまった。今夜は恋人とディナーデートらしい。朝からソワソワしていることには気づいていたし彼はそもそも何ヶ月も前から今日のこの日の定時上がりを宣言していた。分かっていたことなのだから、この山を少しでも崩しておけと苦情のひとつも言いたいところだが、あいにくこの上司に弱いシンは「頼んだよ」「シンならできるよ」「さすがシン!」なんて持ち上げられたらひとたまりもなかった。「任せてください!」とあれこれ引き受けて今に至るのである。そんな軽率なシンを知るルナマリア以下、同じ隊の面々は自業自得と笑いながら彼らも彼らでデートに墓参りにと忙しいようで。まだ定時から二時間も経たないうちに夜番の職員を除けばシン以外の誰もいなくなっていた。
    1891

    recommended works