夏の日差しと不死川先生 高校三年生の夏、俺は見てはいけないものを見てしまった────
連日続く猛暑は三十度どころか三十五度を超えてくる。照り付ける太陽はジリジリと肌を焼き、昼日中の帰宅へのハードルをこれでもかと上げてくる。
「うげぇ…」
昇降口から足を一歩踏み出した途端にむわっとした空気にげんなりする。ため息をつく俺の肩を叩いたのは隣にいた友人で、その視線の先には水道。
ニヤリと笑った友人に俺は大きく頷いた。
「うっひょぉ〜」
「きっもちぃ〜最高だあぁ」
青空に輝く水飛沫。キラキラと輝くそれはまさに青春ってやつ。嫌気が差す程の暑さを忘れ、テンションが上がりすぎていたのがまずかった。
「あ、」
と思った時には、手からホースが離れていた。濡れていて手が滑ったのだ。空中に放り出されたホースは大蛇のように暴れ、空から雫が降ってくる。どうせ既に濡れていたから頭から水を被った所で問題は無い。寧ろそれが目当てで水遊びをしていたんだから。ただ、一つまずいことが起こった。視線で追いかけたホースの先に、ここに居てはいけない人物がいた。
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