twilight 閉じたカーテンを透かしている薄明かりは、じきに昇る太陽の存在を仄めかしていた。
ベッドに横たわる五条の視界には、金糸を乱して彫刻のように美しい横顔を晒している男の顔がある。
いつも整えられている金色が、触れてみると存外にさらりと柔らかいことを知ったのは、彼の腕の中に抱かれたときである。堅物の彼の内面が髪質に表れているのだと、大発見をしたような喜びに包まれて五条が笑うと、唇に噛みつかれて彼の聖域たる寝室に引き込まれてしまった。
茹だるような熱も、自分のものとも思えなかった鼓動の速さも、汗ばんだお互いの肌も、今ではすっかり落ち着きを取り戻してしまっている。焦がれた男とのあの夜は幻だったのではないか。不意に心許ない気持ちになって、眠る彼の金糸に手を伸ばそうと身動ぐと、五条の下半身に鈍痛が走った。
9300