【どんぐりまなこ】鬼太郎が様々などんぐりを拾ってきた。
子供はどうしてこう、なんでも拾ってくるかね?
いや、そこが可愛いからいいか。
親バカにもなる。
現に本当の親の方は沢山渡されたどんぐりに終始笑顔を絶やさない。
小さいの、大きいの、細長いの、丸々したの、傘があるの。
ウチの息子はどんぐり拾いの天才か?
「どんぐりは炒って食べると美味いんじゃが折角の倅から貰ったどんぐりじゃ。ずっと愛でていたい」
「食う気だったのか」
世の中何でも食えるんじゃぞ?と言う。
確かに食おうと思えば何でも食える時代だ。
地方によっては今でも食べてる所があるだろう。
机に置いた鬼太郎からのどんぐりを嬉しそうに飽きずにずっと眺めている。
その姿がまさしく「父親」で下手したら「母親」で。
そんなゲゲ郎を俺は飽きずにずっと眺めてられる。
机のどんぐりが1つコロリと此方へ転がって来たのを拾い上げ暫く見つめてつまみ直し、ゲゲ郎の顔の高さまで持ち上げてみる。
「どうした?」
「『どんぐり眼』とか、本当にお前の目の事を言うんだな」
「ワシの目はそんなに丸いか?」
「丸い丸い。大きくて、丸くて、くりくりした目だよな」
「それは褒めておるのか?」
「『愛おしい』って事だよ」
珍しく、恥ずかしげもなく出た言葉。
不意打ちなソレに、ゲゲ郎も『どんぐり眼』を泳がせて頬を赤くする。
外は紅葉が進んでいく中、ここでも『紅葉』が見れるなんてな。
「お前はどう料理したら美味しく食える?」
「……手を加えず、そのまま食べてはくれぬのか?」
目をパチクリさせて、今度は俺がどんぐりみたいな目をしているだろう。
折角の申し出だ、有難く『そのまま』頂くとしようではないか。
アクが強いと言うどんぐりと違い、こちらは砂糖のように甘く解けていくだろう。
秋は、食欲の秋だな。