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    しゃんしゃん

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    しゃんしゃん

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    ジオフリ&キャプフリ
    Xの相互様が書いてくださったお話の後日談。
    改めてありがとうございました🙇‍♀️✨
    なんでも読みたい人向けです😌

    キャップ&アメジオVS……まだ皆が寝静まっている朝早く。ブレイブアサギ号のウィングデッキに一匹のアーマアガアが降り立った。昨日キャップを振り払ってフリードを連れ出したアメジオが帰ってきたのだ。

    アメジオがそっと手袋を外してフリードの頬に手を添えると、フリードはすり、とその手に擦り寄った。ベッドの上で散々可愛がってやったから、これでもう自分の手持ちであるソウブレイズに変な嫉妬なんてすることはないだろう。

    「フリード、愛してる」
    「ん……俺も。愛してる」

    ふたりは朝日に包まれながら抱きしめ合い、触れるだけの優しいキスをした。

    恋人が誰なのかわからせるため、アメジオはブレイブアサギ号からフリードを自分の部屋に連れ帰り、お互いに熱を求め合い愛を確かめあったのだ。離れるのは名残惜しい。ライジングボルテッカーズとエクスプローラーズ、所属している組織が違うのだ。今日アメジオには任務がある。与えられた任務を全うせねばならない。

    甘々な雰囲気を漂わせていたその瞬間、バチッとバトルコートにでんげきが走った。

    「ピィーカ……」

    聞こえたのは低い唸り声だった。フリードが恐る恐る振り返ると、フリードの相棒であるキャプテンピカチュウが仁王立ちをしながらバトルコートに立っていた。円な黒い瞳を細め、でんきぶくろからぱちぱちとでんきを放っている。

    「き、キャップ…!お、おちつけ?そのでんきしまおうな?危ないから」
    「カチュ」

    そこを退けと言って今にもアメジオに対して凄まじいでんげきを放とうとアップしているキャップにフリードはサア、と血の気が引いていくのがわかった。

    アメジオはそんなフリードを後ろに庇い、キャップに向かってそっと近づきしゃがみこみ目線を合わせる。

    「お義父さん」
    「ピカ!?」
    「ぶ……っ」

    キャップの声が裏返った。アメジオの口からとんでもない言葉を聞いて、フリードは思わず吹き出し肩を震わせ笑いをこらえている。そんなフリードの気配を後ろで感じ取りアメジオは無言で立ち上がるとべしっと無言でチョップをかます。その後、アメジオはもう一度キャップに向き直った。

    アメジオにお義父さんと言われ、キャップは誰がお義父さんじゃいと思ったが、アメジオの真剣な表情を見て、仕方なく耳を傾けた。

    「昨日言った通り、俺はフリードのことを大切にするし、幸せにする。それはこの先もずっと変わらない」
    「……ピカ……」
    「お義父さんとも友好的な関係を築いていきたいと思っているんだ。フリードのことを許してくれるだろうか」
    「…………」

    アメジオの真っ直ぐな紫色の瞳がキャップの黒いつぶらな瞳を捉えた。その真っ直ぐな思いに吸い込まれそうになる。キャップはふいっと視線を逸らし、ほう、と息を吐くと。ブレイブアサギ号の船内へと歩いていった。

    「ふ……完全に嫌われてしまったようだな」
    「いや、あれはたぶん、認めてくれたんだと思うけどな」

    仕方なくだと思うけど。そう言うフリードにアメジオはそうかと呟くとフリードに向き直る。

    「じゃあ、俺は帰るが。何かあれば真っ先に俺に連絡しろ。任務中だろうがなんだろうがどこへでも飛んで行く」
    「いや、ちゃんと仕事しろよな?でも、万が一の時は頼りにしてる」

    アメジオはそれを聞いてふわりと微笑むと、アーマアガアに乗ってふわりと宙を舞う。フリードはそんな彼に手を振って。送ってくれてありがとなと言って別れるのであった。

    ***

    とある日。ロトロトロト!とアメジオのスマホロトムが鳴り響いた。送られてきたのはメールのようで、差出人はフリードである。

    「な……っ」

    そこには場所の名前と、SOSだけ書かれていた。いつもひとりでなんでも解決してしまう恋人からのSOSだ。向かわない訳には行かない。

    「すまないスピネル、用事ができた。あとは任せたぞ」
    「は!?アメジオ!まだ任務の途中ですよ!?」

    アメジオはわあわあとうるさく喚くスピネルを無視してモンスターボールからアーマアガアを出して空へ飛び出した。

    (フリード…!!)

    恋人の無事を祈り、ぎゅっと自分のスマホロトムを握りしめる。アーマアガアに急げと命じ、猛スピードで空を駆け抜けるのであった。

    フリードから送られてきた場所へ辿り着くと、そこはひとつの使われていない倉庫があった。

    アメジオは怪しい、と思いながらもその扉に手をかけたその時、黄色の見慣れた毛玉が飛び出してきた。

    「ピカチュ!」
    「お、お義父さ「ピ?」……、すまない…」

    そこにはフリードの相棒である、キャップことキャプテン帽を被っているピカチュウの姿があった。思わずお義父さんと言いかけ、キャップはあ?と超不機嫌なオーラを纏いながらアメジオの言葉を渡り睨みつける。

    「フリードから連絡をもらってな。何があった?」
    「カチュ、ピピーカ、ピーカチュウ」
    「なるほど、わからん」
    「ピカ」

    キャップがなんて言っているのかはわからないが、最後は何か馬鹿にされているような感じであるのはその態度から嫌という程理解出来た。
    だがここにキャップがいるということは近くにフリードがいるということだろう。自分の勘が怪しいと思うのならば突き進むのみ。

    「フリード!いるか!?」

    アメジオはバン!と倉庫の扉を開けた。
    するとそこには意識がないのかぐったりと瞼を閉ざしているフリードと、フリードの黒の長袖インナー服に手をかけている見知らぬ男の姿があった。

    「な、何者だ!?」
    「貴様……その汚い手をそいつから離せ」
    「は、こいつの綺麗な顔傷つけたくなけりゃ、大人しく帰んな坊ちゃん」

    美しい白銀の髪に褐色の肌。金色の瞳なんてさぞマニアに高く売れるだろうよと男は言うと、ニヤリと微笑むと懐からナイフを取り出した。

    最近ニュースで人攫いが発生していると耳に挟んだが、まさかこいつが犯人だろうか。
    ぎらりと銀色の刃がそっとフリードの頬の近くで鈍く光る。

    「…………」
    「ピカ」

    アメジオは目を細めて男を無言で睨みつける。男の近くにはヘルガーが鋭い牙を剥き出しにしてぐるるる、とこちらに向かって威嚇をしていた。刃物を持っている男に自分の力でどうにかできるだろうか。相棒であるソウブレイズを持ってきてはいるが、この狭い倉庫で本気のバトルすれば、動けない状態のフリードを傷つけてしまうかもしれない。

    さてどうしようか。そう思っていると、くん、とズボンの裾が引っ張られた。アメジオが足元を見ると、そこにはやる気十分の、フリードのピカチュウがいた。

    「ピカピカ」

    キャップがそっと前へ出る。まるでアメジオと自分の名前を呼んでいるかのように力強く鳴くと一瞬こちらを見て縦に頷く。
    それを見たアメジオは目を見開き驚くと、ふっと不敵に微笑んだ。

    「そうだな、共にフリードを助けよう」
    「ピーカ!」

    ここは任せろとキャップは言っている。さすがフリードのポケモンだ。よく鍛えられている。
    アメジオはその頼もしさに心が震えた。

    「いくぞ!」
    「カチュ!」

    キャップが力強く鳴いて、拳にかみなりを纏わせながら単身でヘルガーに突っ込んでいく。キャップへのバトルの指示は一切しない。彼は賢い。自分で考えて自分で行動できる。
    信頼していいキャプテンだ。
    それと同時にアメジオが素早く動いて人間の方を対処する。男の懐に潜り込み、男の鳩尾へ強烈な右ストレートをお見舞してやる。

    「ぐあっ!」

    カラン、と手元からナイフが落ちた。アメジオは素早くそのナイフを蹴り飛ばして男から遠ざけると、自分よりも大きな身長を持つフリードの肩を持ち、体を支えながら倉庫から出た。

    キャップがヘルガーに向かってとどめのボルテッカーをお見舞する。その衝撃波により吹っ飛んだヘルガーはトレーナーである男を巻き込んで、どさりと地面へ強く叩きつけられ戦闘不能となった。

    キャップとアメジオの共闘は、驚く程に息ぴったりで、呆気なく終わった。

    「フリード」
    「ピピーカ、ピカチュウ」

    倉庫の壁を背もたれ代わりに、アメジオはフリードをそっと寝かせた。ぺろぺろとキャップがフリードの頬を舐めると、フリードの閉ざされていた瞼がぴくりと動いて、金色の綺麗な瞳がそっと覗いた。

    「きゃっぷ……あめじお……?あれ、おれ……」

    どうしたんだっけ、とズキズキと痛む頭を抑え、ほう、と息を吐く。アメジオはふわりと微笑むと、そっとフリードの前に手を差し伸べた。

    「帰るぞフリード。立てるか?」
    「ピカチュ」

    「ん。そうだな……って、ふたりとも、なんか仲良くなってる?」
    「そうか?」
    「ピ!」

    アメジオの手を取ってフリードは立ち上がる。フリードの言葉にキャップはぶんぶんと首を横に振ってノーと否定する。そんなキャップにアメジオは苦笑するとそっと。キャップの前に手を差し伸べた。

    「お前が、何らかの方法で俺のスマホロトムに連絡してくたんだろう?」
    「……、ピィカ」
    「知らせてくれたこと、感謝する」

    キャップはふいっと後ろを振り向いた。そしてアメジオの手にしっぽがちょん、と触れる。
    少しは認めてくれたのであろうか。フリードとの関係を。

    「ピカピカ」
    「ん?」
    「お!キャップ?どうした〜?」

    キャップはぴょんと地面を強くけってアメジオの肩に飛び乗った後、更にそこからフリードの頭を目指して彼の頭にそっと乗っかった。

    「なんか腹減ったなぁ〜。あ!アメジオ!昼まだか?まだなら今日もマードックのカレー、一緒に食べてく?」
    「……頂こう」

    アメジオはモンスターボールからアーマアガアを出すと、フリードはぽん、とモンスターボールからリザードンを出す。何か忘れているような気もするが、アメジオは隣を飛ぶ愛おしい恋人の姿を見て。幸せそうに微笑むのであった。

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