運命は残酷に祝福を歌う冬の寒い雪が降り積もる季節のある夜、生まれた赤子が泣き叫び母を起こさずと外に出る大人が二人歩いていた。大人の一人黒髪の男は着流しの男が胸に抱く赤子の頭を撫でると、幸せそうに目を細め見つめた。赤子は涙を浮かべ泣き叫びながら、何かを求める様に手を伸ばす。伸ばした手を黒髪の男が片方を握り、白髪の男がもう一方の手を握り笑いかける。男達にとって赤子は希望そのものだった。
「鬼太郎どうしたんだ。珍しいじゃないかお前がそんな泣くなんて」
「ほ〜れほれほれ〜わが倅ながらすごい泣きっぷりじゃのぉ」
「そうだな。お前に似たのか良く泣くな」
黒髪の男の言葉に白髪の男が剥くれる様に口を尖らせ小さく呟いた。
「わしが泣き虫の様な言い方じゃな」
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