できることなら囓りたい 頭からの出血というのは傷の浅さに比べて目立つもので、目に血が入ってしまえば戦いにくいことこの上ない。拭っても拭ってもとめどなく血が滴り落ちるので、そんな大倶利伽羅の様子を見ていた鶴丸が呆れてしまい、止血してやるから座れと言うほどであった。
「きみ、頭蓋骨の形がいいな」
気がつかなかった。きつく止血をしながら鶴丸はそう呟いた。
頭蓋骨の形など今まで気にしたこともない。傷よりも痛いくらいに布で締め付けてくる鶴丸を、大倶利伽羅はなんとも言えない気持ちで見上げた。
「いいなあ、実に良い」
「腕とか脚とか、他の骨だったら、切り離してしまえば貰うこともできるが」
「貰うな。やらん」
「首から上はなあ、流石にだめだな」
残念、残念。
どこからどこまでが本気なのかわからない声で、鶴丸は繰り返し呟いた。