今年も、今年はきらびやかなあかりが灯りはじめた夕暮れ時、駅前は常よりも人通りが多かった。
その誰しもがどこか浮足立っているように思えるのは今日が12月23日だからだろうか。
大事そうに抱えられた四角い箱や、ロゴを見ただけで得も言われぬ匂いが漂ってくるような赤い箱が行き交い、思わずため息をついてしまう。
コンビニで買った適当なおにぎりを口いっぱいにほおばりながら、車内は沈黙に包まれていた。
こうやって隙間をみつけてはなんとか軽食を胃に放りこみ続けて、どれくらい経っただろうか。
「ん? あらま偶然」
「先輩?」
「おーい、立香ちゃん!」
パーシヴァルからの問いかけには行動で返事をして、斎藤は窓を開けるとひらひらと手を振りながら雑踏へと声をかける。
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