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    サトカ

    @satoka8989
    whr腐/矢久

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    サトカ

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    矢久突発文。あとで手直しするかも。

    矢久突発文その1 出会った時からそうなる運命だったのかもしれない。
     自分の視た未来が劇的に変わっていく瞬間。驚いて、茫然とその光景を見つめていたら、いつの間にか自分の腕を掴まれていた。
     未来を変えた張本人はギラギラとした目でこちらを見ていた。
     なぜだろうか。その目はやけに楽しそうで、そこでもまた虚をつかれた。
     そんな風にぼやっとしていたから、あれよあれよと目の前の人に手を引っ張られる。まずいと思ったけど止められない。
     【普通】を望んで、父と母がいる家から、今まで生きてきた場所から、逃げてきたのに。
     目の前にいるこの人は【普通】から遠い人だってことは一目見た時から分かっていた。
     それなのに。
     変わった未来。その光景が鮮烈に焼き付いている。
     鉄柱をもろともせず、一人佇んでいる姿。
     それは自分が求めていたものじゃないのか。
     心のうちがほのかに熱くなる。生まれた希望を手放したくなかった。
     あなたがもし神様なら。
     僕の視る未来なんて簡単に殴り飛ばしてくれますか。
    『普通でいなさい』
     頭の中でリフレインする。ぐっと唇を噛み締めた。
     母さん、ごめんなさい。

     そして僕はヒーローになった。望んでいたはずの「普通」とは程遠いヒーローに。
     
     
     
    「……そんな風に考えていた時期もありましたねえ」
    「あ、なんだよ、急に」
     合宿施設の自室で一人ごちていたら、眠っていたと思っていた矢後さんからお声がかかる。
    「起きてたんですか」
    「今起きた。何やってんの?」
    「アンケートの答えを考えていたんですよ。ヒーローに興味ある子向けのパンフレットを作成するって矢後さんも指揮官さんから聞きましたよね」
    「覚えてねー」
     興味がなさそうな声音。これは本当に覚えていないな。
     机の上にはヒーローになった理由を問うアンケート。それをそのままにして椅子から立ち上がり、矢後さんが寝転んでいるベッドの縁に座る。目を覚ましても眠そうな矢後さんに自然と口角をあげていた。
     目の前にいるこの人は全ての未来を殴り飛ばせはしなかった。
     この前はポケットに入れたリンクユニットを落とすと伝えたのに、その未来の通りになってしまって。結局、伊勢崎さんと光希くんに助けてもらった。
     そもそも未来を変えられる人は矢後さんだけじゃなかった。まさか未来を変えられる人がこんなにいるとは夢にも思わなかった。
     矢後さんといると大変だ。どこかしこで寝るし、なかなか起きないし、イーターと戦って夢中になると単独行動しがちだし。
     今でも自分のあの時の選択が正しかったのか分からない。
     けれど。
     今でも矢後さんが未来を変えるその瞬間は胸が熱くなる。
    「矢後さん」
     名前を呼んでも返事はしない。でも目線はくれるこの人のことを僕は。
     神様ではない、人間である矢後さんと一緒に生きている今を。
    「ちゃんとアンケート、書いてくださいね。なぜか僕に皺寄せがやってくるんですから」
    「……ふああ」
    「ちょっと寝ないでください。僕の寝る場所が……あー、これは朝まで起きないな。まったく……」
     
     愛おしく、思っている。
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