梅雨の音】【梅雨の音】
中里介山は帝国図書館に転生した文豪の中では背が高い方に入る。
いつの間にやら彼は図書館で利用客が理不尽なクレームを入れてきたとき、対処をする係となっていた。
トラブルが起きそうになったらなかざとを立てておくと彼の見た目や性質で穏便に収まることが多いのだ。
「嫌なら断っても良かったんだぞ」
「事件に巻き込まれたのだ。解決をするためには力を貸そう」
雨の中、吉井勇と共に介山は外に出ていた。
帝国図書館のトラブル解決人となっては来ているが、介山としては手が貸せるところは貸したいとは思っている。
断る権利もあるので、断るところは断ってはいるのだが。
今回は出ることにした。知らせを持ってきたのは正宗白鳥で、買出しに出かけた島田清次郎が事件に巻き込まれたという。
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