まだかかるのかもしれない。二子side
新英雄大戦のチームの一つ、僕の所属するイタリア棟の日本人メンバーは、何となくの流れでみんな毎日一緒にお風呂に入っている。
正直なところ、髪を洗うときはどうしても顔が見られてしまうので一緒に入りたくないのだが、
「まぁまぁ二子ちゃん、一緒に入りましょ?」
と愛空くんに言われてしまうし、最近恋人になったばかりの蟻生くんにも
「一緒に入る方が"オシャァ"だぞ?」
と言われているわけだから断れない。
まぁ、少し早めに入ってしまえば髪を洗う姿を見られないので、いつもそうしている。
「二子!今日も先に入ってたんだな!」
「愛空くん、そうですね。十分前くらいにお風呂来たんで、お先です」
皆より少し早めに入ってくるのは愛空くん。そのあとをついてくるのは閃堂くんで、そのあとは田中くん、志熊くん、石狩くん、不角くんと続いてくるのがいつものパターン。蟻生くんと馬狼くんは最後の方に入ってくることが多いかな。
「ふっろだ~!」
「閃堂!さっきまで疲れたって言ってたよな?ww」
「いやぁ~風呂に入ると元気復活するじゃん?」
「それはそうだけどさw」
「おい、閃堂。風呂で走るのは"オシャァ"じゃないぞ?」
「あっわり……って今日は早いんだな」
「今日は早く寝るのがオシャだ」
傍から聞かなくてもよくわからない会話な気がするけれど、こうやって恋人が他の人と仲良くしているのを見るとほっこりするのは僕だけじゃないはず。
ただ、こうやって見ると、本当にスタイルがいいんだなと思ってしまう。もともと背が高くてすらっとしているのは知っていたけれど、筋肉ののりかたとか均等で綺麗だなと見とれてしまう。
あとは……そういったところも見てしまう。ま、まぁ、僕も思春期ですからね?しょうがないとは思いつつ、顔が赤くなっていくのを感じてパシャっと顔にお湯をかける。
「あれ~二子ちゃん、顔真っ赤だよ?何か変なことでも考えてたの~?」
「なっ、そんなわけないじゃないですかっ!」
「じゃぁなんでそんなに顔赤いの?」
「これは……長く入ってるからですよ、きっと」
「ふ~ん、まぁ、いいんだけどな」
そう言うと愛空くんは「体洗ってくるわ~」とシャワーの方へ行ってしまった。
こうなると、僕はひとりになるわけで……もう出てしまおうかな
いやでもあんまり早く出ると、それはそれで怒られるんだよな
「ん~、」
「二子、何か悩み事か?」
「ふぇ、あ、蟻生くんですか。いや、なんでも?」
急に来た恋人に名前を呼ばれるとなると、驚いてしまうのも無理はないと思う。特に、付き合うまでは「二子少年」と呼ばれていたのにここ最近は「二子」と変わったわけだし。でも、変な声を蟻生くんに聞かれちゃったのは恥ずかしいな……
「なんでもないというには、浮かない顔だな。"俺"でよければ何でも聞くぞ?」
「い、いや~、何でもないですってば」
「二子、いつになく抵抗してるな~」
「思春期か?」
「い、いや、別に……というか、閃堂くんもまだ思春期ですよね?」
「お、おれはもう終わってますし~?」
「個人差とかはあるっぽいですけど、18歳までは思春期らしいですよ?」
「あ、じゃあ思春期か、じゃなくって!」
「も、もう、僕出ますからっ!」
そう言って脱衣所の方へ行こうと立ち上がる。こんな状態のブルーロックス達は僕が死ぬまでいじってくるわけだから、逃げるしかない。
と思った瞬間、大きな手が僕のことを止めた。
この手は……
「蟻生くん、?」
「二子、こっち向け」
「え……あ、はい」
なんなんだろう?ここでしか言えないこととか?
というか、目の前に好きな人の体は、ちょっと体に悪いです……。
「ここまでだな」
そう言いながら蟻生くんは僕のへそ下あたりをトントンッとたたいてきた。
「な、んのことですか?」
何かの長さ?それとも胃腸のある位置……にしては下過ぎるよね?
「二子~、その場所ってさ、入れるものあるじゃん?」
「入れるもの?」
「あれ、二子って純粋だった?」
「え、なんで今その質問を……?」
「いや、純粋じゃなかったら知ってるものかと思ってたから」
なんで今このタイミングでそんな質問を愛空くんはするんだろう、?
純粋じゃなければ知っていること……も、もしかしなくても、そういうことですか⁈
「へぁ……あの、その……///、あ、蟻生くん、そういう、?」
「またいつか、な。急に襲うのは"俺"の趣味ではない」
「そ、そうですかっ/// じゃあ僕は、これでっ!」
とっさに逃げてしまった。頬が熱くなっていくのを感じる。
僕が襲われるまで、まだかかるのかもしれない。