no title仕事が詰まっててすっごい忙しい快斗が、新一にちょっと今いいか、って声かけられたけど八つ当たり気味に「見てわかんない?そっち優先しなきゃダメ?」って言ってしまって、びっくりした新一は、ごめんな、って部屋出てってそのまま帰ってこなくて、でも快斗も本当に忙しくて確認出来てなくて、ようやく落ち着いた時にスマホ見たら、「別れる」ってメッセージ入ってることに気づいてそれももう2週間くらい前で、めっちゃびっくりしたけど、ここまで放置してても気を回せなかったならもう潮時だったのかもなって受け入れて連絡も返さないんだけど、なんかどんどん気になってくるし、仕事に粗が出始めちゃって遂に結構大きな怪我をしちゃう。
入院することになったんだけど、現場から付添で来てたスタッフの子に「工藤さん呼んでおきましたからね」って言われて「なんで?!」って言ったら「え、契約書の緊急連絡先、工藤さんになってますよ」って、あ一別れてから直すの忘れてたよー!!!絶対来ねーよあいつー!って思ってたら、
「かいと!!!!!!!」ってすっごい息切らせた新一が病室に飛び込んできて。「けが、したって、」って本当どっちが入院した方がいいか分かんないくらい、真っ青な顔で、しかもただでさえ細いのに痩せた?やつれた?って見た目で。「あー…ちょっとだけ入院する程度…」って答える間もなく抱きしめられて。スタッフの子は空気を読んで退室した。
「ごめん……!!忙しいのわかってたのに、でも、あの日は本当に、話聞いて欲しくて、…!墓参り、行きたくて、ひとりじゃ怖くて..でも怒ってたから、言えなくて、大事なこと言えないようになっちゃったんだと思ったらしんどくて、あんなメッセージだけ入れる卑怯な真似した…!」って。泣いてないけど、泣きそうな声で言われて。
あ、って思い出す。月影島の事件の話、新一から聞いたことがあった。そうか、そんな時期だったんだ、大切な人の大切なことすら気をまわさないようにオレもなってたんだって思ったら新一は泣いてないのに快斗はぼろぼろ涙が出てきちゃって。「ごめんな…聞いてあげられなくて…だめだよオレ、新一がいなきゃ、なんかどんどん生活も仕事も荒れちゃって、オメーのことが気になっちゃって…」「オレだって、ひとりじゃなんも出来ねえよ、メシ食わねえし、本も読めなくなるし、あんまりだったから宮野に叱られて、話してこい!って言われて。行かなきゃなって思ってたら、怪我したって言われて…一度口にした言葉は元に戻らないってわかってんのに、別れるなんて言わなきゃよかったってめちゃくちゃ後悔した…!!」「オレも酷いこと言った、見てわかんない、とか、ダメだよな、言わせないようにしてんのと同じだった…ごめん、ごめんなしんいち…、墓参り、まだ間に合う?」「ん、まだ行けてない…」「じゃあ一緒に行こ。怪我治ったからになっちまうけど…」「うん」「ね、好きだよ、オレやっぱり、しんいちのこと、大好きだよ」「…うん、オレも、だいすき」ってたくさんキスして、目を合わせてふは、って笑って、快斗の涙拭いたげて、ぎゅーする。廊下のスタッフは「私はグッジョブなことをしたらしいな…???」って顔しつつ、巡回に来た看護師さんと一緒に聞き耳立ててる。