二人のアフター「桐生ちゃん、お待たせ♡」
その声に桐生一馬は振り向いて、吸っていた煙草を携帯灰皿に片付けながら改めて声の主の全身を見つめた。
「嫌やわ、そんな舐めるように見んといて♡ そんなにゴロ美がキ・レ・イ?」
真島吾朗――ではなくゴロ美はいつものワンピースの上に白色のファーコートを着て、白いバッグを手に持って立っている。
「ああ……綺麗だ」
桐生が思ったままの言葉を口にすると、ゴロ美は目を見開いて、すぐに桐生から顔を逸らした。その頬は赤らんでいる。
「もぉー♡ 桐生ちゃんは正直やなあ♡」
「本当のことを言ったまでだ。そこ、足元気をつけろよ」
「うん……ありがと」
差し出した桐生の腕にゴロ美は両腕を巻き付けて密着して、言われた通りに段差に気を付けてながら歩き始める。
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