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    xyuuhix

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    xyuuhix

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    サビなのでれかお悪魔本考えてるけどこれは多分続きかかないので供養
    囚人×看守
    悪魔なのに囚人とは大罪人とは 人ってなんだよ

     無法の魔界にも、監獄は存在する。魔王によって審判を下されるにしても、大抵はその場で斬首の刑に処されるか、無罪放免となるかのどちらかで、そこに収監されるのは、よっぽどの大罪を犯した悪魔だけ。
     そして今現在、その監獄に『暮らしている』のは、次の魔王になるとまで噂された強力な悪魔と、その命を狙っている中級程度の悪魔が数百、そしてそれらを監視する唯一無二の看守。——それだけだった。


     大罪人『朔間零』。その名を一度も耳にしたことのない悪魔など、そうは居ないだろう。月の名を持つ悪魔は、それだけ強い力が備わっている。その中でも朔——新月を意味する名は最も数が少なく、零を含めたったの三人だけだ。一人は魔界の何処かでひっそりと暮らし、一人は人間界でふらふらとしているらしい。つまり、当代の魔王に逆らい大罪人の烙印を押されて収監された朔間零以外、誰もその居場所を知らなかった。
     そしてかくいう朔間零も、監獄の中にいる、ということ以外の居場所を知る者は居ないといってもいい。魔王でさえ、どこにいるのかわかっていない。知っているのは、この監獄の全てを掌握する者——看守『羽風薫』のみだ。
    「脱走した悪魔を処分したり、結界を時々作り替えたり、看守の仕事って本当に面倒だよね。誰か代わってくれたらいいのになぁ」
     ぼやいたところで、くだらない雑事が無くなるわけでもない。しかし、脱走して探し回ったところで、監獄から出ることも、大罪人のところへたどり着くこともできないだろう。この監獄全体にかけられている結界は看守オリジナルであり、それこそ朔間の誰かが力ずくで破壊でもしない限りは、どんな悪魔が寄ってたかって来ても破れやしないだろう。薫の気だるげで軟派な振る舞いのせいで随分となめられているが、魔王に看守を任されるほどに、彼の力は強大なのだ。
     そんな彼の行動は気まぐれで、数日、監獄を見回らないこともある。それを不真面目と笑い利用するものも居れば、完全に気配を断って監獄をじっと見ているのだろうと警戒するものも居る。
    「じゃあ。看守の任なんて放っておいて、俺様をここから出してくれてもいいんじゃねえか?」
     檻の前、ゆらゆらと丸みを帯びた足の椅子に揺られながらぼやいていれば、暗がりから声が聞こえる。この最深部に唯一収監されている悪魔だ。零はその紅玉の瞳を怪しく光らせて檻の外の看守をじっとを見つめているが、薫がそちらを向くことはない。
    「俺が魔王の首を取るまでは絶対にだめ」
    「なんでだよ」
    「だって、あんたが首を取りに行っちゃうじゃん」
    「でもお前だってそう言って、いつまで経っても行かないだろ、薫くん」
    「げろげろ。馴れ馴れしく呼ばないでよね。俺は楽にことを運ぶために、機を待ってるだけなの」



    「看守さんごっこしてる囚人とはな」
    「ごっこじゃないよ。ちゃあんと、お仕事だから」
    「俺と『おはなし』するのが、仕事?」
    「あはは。そうだよ」
     零 … 無法の魔界で大罪を犯した悪魔。監獄の奥深くに収監されている。
     薫 … 魔界唯一の監獄の看守。元は囚人。
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