Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    masasi9991

    @masasi9991

    妖怪ウォッチとFLOとRMXとSideMなど
    平和なのと燃えとエロと♡喘ぎとたまにグロとなんかよくわからないもの

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 🐟
    POIPOI 372

    masasi9991

    ☆quiet follow

    寝起きのデググラです

    ##デググラ

    たまには


     たまには、おれが先に起きることもある。いつもは、キミに起こしてもらうのを楽しみに待つ朝。でも今日のように、キミよりも先に目が覚めた朝は、時々のご褒美だ。
    「すやすや」
     規則正しいキミの寝息。本当にスヤスヤと言っている。寝相もきっちり大の字だ。太い二の腕が、腕枕にちょうどいい。
     腕にそっと頭を載せて、しばらくそのままでいる。寝息は相変わらず、規則正しい。早朝の静かな中にキミの寝息だけが聞こえてくるこの時間が、早起きしたおれにとってのご褒美のひとつ。
     でもあまり長くこうしてると、キミの腕がしびれてしまうかな。それじゃキミの腕がかわいそうだから、いい加減にして起きることにする。
    「ンお」
     起きた瞬間にいびきが。腕が軽くなったから起きたか? 普通は逆なんじゃないか。
     大きな口をあけて、一度だけいびきをかいたキミは、おれを乗せていたのと反対側の腕を大きく動かして、鼻の頭を人差し指でぽりぽり掻いた。
     そしてまた、スヤスヤ、と寝息。ちょっとだけ不規則になった。そういえば、少しずつ外も明るくなってきた。カーテンの隙間から青白い光が差し込んでくる。そろそろキミが起きてしまう時間だったか。
     顔を覗き込んで、まぶたや眉毛や、かわいい鼻が寝息と共にピクピクと動いているのを見る。
     そろそろだ。こうして待つのも、ご褒美。なんてことない時間だが、少し胸がドキドキする。おれのせいで起きてしまったりしないように、と息を呑んで待っているからか。
     静かな朝に、屋根の上から鳥のさえずりが聞こえ始めた。早朝から働き出す近所のパン屋の雨戸が開かれた音もする。犬が走り回っている。賑やかになってくる。キミの寝息も次第に、朝の賑やかさに溶けてしまうような。ちょっと残念だ。
     でももっといいご褒美がおれを待っている。
     キミのまぶたが、ピクピクして、ぎゅっと動いた。
    「んん」
     小さい声で唸ったキミは、少しだけ全身に力を込めて縮こまらせる。
     さあ、時間だ。キミのまぶたが開いてしまう。
    「デグダス、おはよう」
    「ふあ。ほあああぁぁぁ」
     先に開いたのは大きな口。元気よく大あくび。まぶたは、まだだ。
     キミのまぶたが開いてしまう前に、おれがまだ閉じているそこにキスをしたから。
    「んわあ、グランツ。おはよう」
    「おはよう」
    「ううむ? 顔の上にシュークリームが」
    「あっはっはっは。シュークリームじゃなくておれだよ」
    「わ!? ワッ、ほんとうだ、グランツだ!」
     そしてキミの瞳はぱっちり開く。やっと起きた。たまにはこんな朝もある。


    (了)
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    🍚
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works