大人になってからのプロポーズ厄災を封じ、平和になったハイラルで俺は期待に胸を膨らませながらリーバルの前に膝をついていた。
何度も練習した騎士の言葉を伝えて手を差し出して、結婚しようって言った。
「え、やだ」
けど満を持して伝えた言葉はハエを叩くようにして撃ち落とされた。
「え!何で!?」
幼い頃から何度も練習してきた騎士の言葉に間違いはない。厄災を封じたら結婚しようとプロポーズ前のプロポーズも何回もしつこいくらいした。婚約だって小さな頃からしてる。
自ら採掘してデクの木様にわざわざ祝福してもらった翡翠の髪飾りも準備した。
死角がないほど完璧にできたプロポーズをリーバルは心底呆れた顔で俺に突き返してきた。
本当に何で!?
「なんでも何も、忘れたのかい?君のプロポーズは大切なものが足りてないんだよ」
「足りてない…?」
考えてもさっぱりわからない。城の部屋でうんうん首を捻っていると、リーバルはやっぱり呆れた顔をしながら部屋の奥の窓を開いた。
風が気持ちいいほど穏やかに入り込んできて、春の日差しがあたたかい。
季節だっていい季節なのに心はヘブラ山のブリザード級に冷えていた。
「思い出したらまた言ってよ。木の枝でも持って待っててやるからさ」