リッパーにとって……一人で居ることはごく普通のことであった。
幼少期からずっと一人であった彼は一人で居ることに慣れてしまっていた。
隣に誰かがいることが当たり前と言うことはリッパーにとっては普通ではなかったから。
けれど、最近……リッパーの部屋に一人の少年が入り浸るようになった。
水色髪の青い瞳をした……顔立ちの良い少年。
誰もが振り向くだろう美しさを持っている、正義感が強い少年。
少年がリッパーの部屋に居るようになったのはコンプレックスの件が終わってからだろう。
部屋に来ては本を手にとって冷たい石板の地面に座って読み始める。
何故、ここに来るようになったのかを聞けば、「……暇だから」と平然とした顔で返されてしまう。
さも当然のように我が物顔で居るのでリッパーは少年のそんな我が道を行く自由人っぷりに少々関心してしまう。
コンプレックス事件の前までは冷淡だった癖に今は平然とリッパーの部屋に居る少年にリッパーは少しだけ不思議に思う。
どうして、この少年は自分の部屋に入り浸るのか……少年は一体なのん目的でいるのか……そんなことを考えてしまう。
この少年が自身の部屋に居る目的を探ってしまう。
それは、リッパーがこの少年に対して信用と言うものがない証拠なのだろう。
「暇だからと言っているのに……教授も疑り深いところがあるんだな……」
少年は不敵な笑みを浮かべながら言う。
その笑みが余計に何か裏があるのではないかと思ってしまうが……この少年はもしかしたら単に本目的で来ているかもしれない。
この少年……最上川イッサは知的好奇心が旺盛なところがある。
もしかしたら、リッパーの本が読みたいがためにきているのかもしれない。
「どうしたんだ?リッパー教授……。そんなに俺のことを見つめて」
イッサはキョトンとした表情をリッパーに向けていた。
本当にわざとやっているのではないかとリッパーは思ってしまう。
「いいえ。何でもありませんよ」
「そうか」
イッサはそう言いながら、リッパーから視線を逸らして本に集中し始める。
この少年は何を考えているのだろうか?
本当によくわからない少年だとリッパーは少しだけ思ってしまう。
何を考えているのかが予測できない。マイペースな子どもだと言えばそうなのだが。
「リッパー教授……これはなんだ?」