Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    岡田.

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💙 👏 🎉 😍
    POIPOI 6

    岡田.

    ☆quiet follow

    芸能人パロ

    この後カキスグになるけどまだ+くらい

    人生はパレード 初めての仕事は偶然から。当時子役として活動を始めたばかりの姉の付き添いで来た映画の撮影現場にて。クランクインのその日、大家族の絆を描いたコメディ映画の末っ子役の子役が体調不良で急遽来れなくなったという連絡が入った。幼い子どもが突然高熱を出すのは仕方がないが、現場は大混乱で、すぐに代役を探せと大騒ぎ。そしてそんな中、その年齢にしては小さい方だったスグリが監督の目に留まり、あれよあれよという間に映画への出演が決まった。

     次の仕事は、件の映画スタッフからの紹介。『スグリくんかわいらしいから芸能活動続けた方がいいですよ』と言われ、それほど芸能活動に乗り気ではなかったがオーディションを受けローカル局の子供向け教育番組のレギュラーになる。その頃姉はキッズモデルを主軸に相変わらず子役も続けていた。
     番組内キャラクターのリンちゃんとミカちゃんという二人組のリンちゃんの方がスグリ。このキャラはリンゴとミカンがモチーフらしく、衣装は赤ずきんちゃんのような見た目で、真っ赤なオーバーサイズのかわいらしいケープに白いハーフパンツがよく似合っていた。そして色違いオレンジずきんのミカちゃんと一緒に童謡を歌ったり、自分たちより更に幼い子ども達と遊ぶ様子が地元ではそれなりに有名だったらしい。

     そしてそのローカル子ども向け教育番組で何年も仕事を続け、10歳になる前に番組からの卒業が決まった。リンちゃんとミカちゃんは惜しまれながらも卒業し、その後は芸能活動もしていなかったという。

     それからスグリが中学に上がる頃。姉がティーン向けファッション誌のレギュラーモデルになり、人気も出てきたので本格的にテレビ出演や女優としての活動が多くなり、しょっちゅう帰っていた地元にもあまり戻れなくなった事でこのシスコンブラコン姉弟は大層寂しがっていたらしい。
     その結果、姉は滅茶苦茶な人間なので、スグリ本人の意思なんか関係なく自分の所属事務所の社長に「うちの弟かわいいの! ちょっと前まで地元のテレビ出てて! あたしに似て歌も上手いし!」とリンちゃん時代の動画や地元に帰った時に撮った最新の写真を見せて売り込み、履歴書を勝手に提出し、そして自分が地元に帰って会うのでなく弟を自分の生活に合わさせる事に成功したらしい。

     以上が、さっき聞かされた話。



    「それで、うち入って初仕事として、今度カキツバタくんが決まったドラマのバーターにスグリくんって話になったんだけど。あ、これドラマ詳細ね」
     うちの事務所の幹部に「以前からオファーを貰っていたドラマ出演が正式に決まったから説明をしたい」と呼ばれ、会議室に行けばその幹部と、隣には先程見せられた映像のリンちゃんが少し成長した姿で席に着き、しくしくと泣いていた。
    「いや……え?」
    「初仕事からドラマって時点で分かって貰えると思うんだけど、うちの事務所スグリくん推していくつもりだから」
    「本人すげぇ泣いてんのに……?」
    「そう、さっきゼイユちゃんに『あんたはこれからまた芸能人になんのよ』って言われてからずっと泣いてて」
     まるで気にしていない幹部は、オイラにファイルに挟まれた資料を渡しそのまま話を続けようとする。
     これはもしかしなくても芸能人をやりたくないのにムリヤリ事務所に所属させられ、しかもそれをさっき初めて聞いたって事なのか。
    「ゼイユちゃんの弟ってだけで最初から話題になるし、スグリくんもこんな可愛いんだからきっと売れる。歌が上手いからドラマでの演技によってはミュージカル方面もありかなって思ってるんだよね。それか歌推しならアイドルなんかもいけるかも。アカマツくんと同い年だから、次の事務所ライブでふたりに先輩の曲カバーさせて、その反響見てみてもいいかもね」
     幹部は嬉々として今後の予定を語っているが、隣の本人は泣き止む様子もなく、相変わらず静かにしくしくと泣いている。
     まるで身売りされて来たみたいな悲壮感だな……なんて。
    「ま、とりあえずスグリくんも地元テレビ局じゃない仕事の事なんか全然分かんないだろうし、ドラマ撮影始まったら……というか、もう今日からしばらくカキツバタくんの仕事ついてって見学するようにしようか。ちゃんと面倒見てあげてね、先輩」
     まさかこのままオイラに丸投げするつもりかい。正直嫌だ、こんな絶望感丸出しのやつどう面倒見ろってんだ。
    「あーもうこんな時間! タロちゃんの次の現場の顔合わせの付き添いあるからもう行くね。スグリくんの事よろしく! スグリくん、これから頑張ろうね!」
    「あっ、うぅ……」
     返事もできないまま嵐のように幹部は去っていき、会議室にふたりきりになってしまった。
    「えーっと、スグリ、くん?」
    「……はい」
    「とりあえず泣き止める?」
    「……う、はい」
     ぐずぐず鼻をすすり、ごしごしと目を擦る。少し待てばどうにか涙は止まったようだった。
    「……あの、カキツバタさん」
    「そんなかしこまんなくていいから」
    「でも……」
    「そのうち慣れる慣れる。で、何? 質問?」
     迷子センターの職員ってこんな感じなのかな、なんてくだらない事を考えながら言葉を待つ。
    「あの……ねーちゃん、えっと、ゼイユがどこ居るか知りませんか」
    「え?」
    「おれ今日、ねー……じゃなくて姉から、大きい仕事決まったから応援しに見学来てってチケット送られてきたから、それで来て……そしたら急に今日からこの事務所で芸能人やれって言われて……やだって言ってももう決まったって言われて……詳しいこと何も聞けないままどっか行っちゃったし……」
    「いや……あーちょっと待ってろ」
     立ち上がり、会議室の扉を開け外を確認する。この会議室からは所属タレントの予定が書き込まれたホワイトボードが見えるから、多分そこを見れば……。
    「あー……ゼイユとネリネ撮影って書いてるから雑誌だろうなぁ。今頃出版社の方か、多分」
     そう伝えるとまた絶望感のすごい顔になり、そりゃ騙し討ちで連れて来られてこんなとこ急に置いてかれたらこうもなるか。なんて考えた時だった。
     スマホにメッセージが届き、見ればゼイユのマネージャー。
    『お疲れ様です。すいませんカキツバタさん、そちらにゼイユさんの弟さんがいるとお聞きしたんですが、今一緒ですか?』
     瞬時に、嫌な予感がして「悪ぃ、ちょっと仕事の電話してくっからここで待っててくれ!」と言い残してスマホを掴んで会議室を出る。最後に見えたのは「お前も自分を置いていくのか」という可哀想な顔だったが、なるべく早く戻るから許してほしい。
     会議室から出て数メートル進んで角を曲がれば、すぐにスマホが着信音を鳴らし、反射的に画面をタップした。
    『カキツバタ!? あんた今どこよ!!!』
     表示されていた名前は確実にマネージャーだったのに、明らかにゼイユ本人の声が大音量で聞こえてくる。思わず少し音量を下げた。
    「どこって、事務所だけど」
    『じゃあそのままそこに居て! スグと一緒に! 今撮影終わったから、一回事務所寄ってスグ拾ってから次の仕事行くわ!』
    「いやぁ俺も次の仕事そろそろ行かなきゃいけないし、上から俺の仕事見学させろって言われてんだけど」
    『あたしの仕事見学させるって言ってたのに!!! そもそも事務所での説明とか話が終わったらこっちに連れて来てくれるって話だったのになんであんたに任されてんのよ……!!』
    「いやこっちが聞きたい……というかアイツそもそも芸能活動とかしたくなさそうだけど」
    『あたしが一緒に居るから大丈夫よ』
     すごい傍若無人の姉だな。こりゃ大変そうだ。どうしたもんかと思っていると、遠くの方からスタッフであろう声で『ゼイユさん、すいませんがチェックもう一度いいですかー!』と聞こえ、すぐにゼイユの元気で明るい『はい行きます!』という返事が耳に入る。切り替えがすげぇ。
    『ちょっと行ってくるけど、スグの事、迎えに行くから待ってなさいよ』
     そう言うとスマホがゴソゴソと動く音がして『すいません』とマネージャーの声に変わった。
    『……弟さんの事聞きました?』
    「何か俺の出るドラマのバーターでデビューだとか」
    『ゼイユさん、弟さんと二人で仕事やって行く気満々だったんですけど、上は全くそのつもりはなくて、それでゼイユさんが仕事詰まってる今日呼び出して居ない間に話進めようとしてるみたいで……』
    「うちの事務所極悪すぎねえ……?」
     そりゃ泣くだろ。オイラでも泣くわ。芸能活動なんてやりたくないのに騙されて事務所に所属させられ勝手にめちゃくちゃ期待されてて、更に頼れる姉とは引き離されて。
    『女の子だったら姉妹でモデルって雑誌の方にも喜んで貰えたかも知れないですけど、男の子ですからね。姉弟セットで仕事ってなると難しいんですよ。双子ならまだしも……。少なくともゼイユさんの今持ってる仕事に少し下の弟が追加されてもプラスにはならないというか……。だから事務所的には全く別々で売って、そのカキツバタさんが出るドラマ一話公開後に実はゼイユの弟ですって話題にしたいらしくて』
    「まぁ、商売としては納得できるけどあんまりに可哀想じゃ……?」
    『そうなんですよね……でも個々で売って、一番いいタイミングであの姉弟がついに共演! ってやる計画既に考え始めてるらしいですよ』
     うわあ逃げられないやつだ。あんな歳の子になんて仕打ちだろう。これは一緒に居たくて弟呼び出したゼイユも結果的に事務所に利用されてたみたいなもんで真相知ったら凹むんじゃねぇか。
    『あ、あとゼイユさんの弟だって事絶対口外しないでくださいね。これから見学で連れていく現場とかで聞かれても新しく入った事務所の後輩ぐらいしか言わないでください。ゼイユさんも止められてて、さっきも弟が事務所入ったってツーショット写真SNSに上げようとして上からNG出されてるくらいなんですよ』
     聞けば聞くほど気の毒な話だった。金になると思った時の上の動きって怖いねぃ。
    『あ、そろそろゼイユさん戻ってくるので切りますね。カキツバタさん達もお仕事頑張って下さい』
     そう言われあっさりと通話は終了した。何か嫌な話に巻き込まれちまったなと思いながら、会議室へと戻る。思ったより長いこと話していたから不安でまた泣いてるかもなぁなんて扉を開ければ、相変わらず猫背で弱ってはいそうだけど、ほんの少し目を輝かせチョコレート菓子をもそもそと頬張っているさっきとはあまりに違う姿が目に入った。
    「一人にして悪かった……な?」
    「あっ、おかえりなさい、あの、これ、さっき事務員さんが来て大変だけど頑張ってねってくれました……!」
     これ、とペットボトルのジュースとチョコレート菓子とスナック菓子の小袋が指される。あまりに可哀想でその事務員も飲み物とお菓子をあげたんだろうが、こんなけ喜んでりゃ意味もあるな。
    「これ、わやうめぇ……じゃなかった、すごい美味しいです」
    「ん?」
    「ひぇ……あ、あの、今の偉い人には言わないで……!」
     ビクつきながらそう言ってくる事に、身に覚えがあった。自分も入所初日にやたら口うるさく言われた覚え。
    「もしかしてお前さん、方言喋んなってキツ〜く詰められた?」
    「えっ……うぅ、はい、普通に喋れるようにならないと駄目って……」
     不安げに見上げて、また怒られるかもと怯えているその顔。あの頃、ただ喋っているだけでまるで人語を話していないかのような扱いを幹部の中でも特に偉いあのオッサンにされていた覚えが自分にもある。そういやアイツ今日事務所で見かけたな。あー、そういう事か。
    「なァんだ! そうかいそうかい、早く言ってくれりゃあいいのにねぃ!」
     ゲラゲラ笑いながら背中をバシバシ叩いてやると、困惑したように「えっ、えっ」とこちらの急なテンションの上がり方に引いているようだった。
    「オイラもおんなじ! あっこの自分の事オイラってのもすげぇ怒られんだよなァ。未だにたまに出て怒られてるけど。そんなに俺って言わなきゃ駄目かねぃ。役の時はちゃんとその役に合わせて喋んだから、日常会話での話し方とか一人称なんかほっといてくれりゃいいだろうになぁ」
     うんうん頷きながら一方的に喋っていれば、脳が追い付いてきたのか少し安心したような、仲間を見つけたような顔でこちらを見つめてくる。
    「カキツバタさんも、おんなじなんだ……?」
    「気軽にカキツバタでいいって。さん付けなんか偉い人の前で喋る時だけで十分十分。敬語もいらねぇしオイラ相手に喋る時にゃお互い遠慮せず自由に喋ろうぜ、スグリ。息抜きみたいなモンで、ふたりの秘密ってやつ!」
     仲良くやろうやと肩を組んでやると、スグリは少し考えるように黙った後、へらりと笑って「んだな」と呟いた。

    「じゃあ、とりあえずこの後はオイラの仕事、インタビュー受けに行くのに着いてきて貰う事になるけど、いけそうかい」
    「……うん、ついてって、挨拶するだけって言われてんべ」
    「わかった。じゃあそろそろ出る時間だからとりあえず車乗って、移動中にこれ一緒に確認すっかね」
     これ、とファイルに挟まれ冊子になっている例のドラマの資料をひらひらとさせる。スグリは一瞬「うっ」みたいな反応をしたが、小さく頷いて返してきた。
     荷物を持って会議室を出て、マネージャーにメッセージを送れば『すでに事務所の前に車停めてる』と即レス。ありがたい。「新人と一緒に仕事行ってきまーす」とデスクワーク中の社員達の横を早足で通り過ぎると、みんなの「はーい」「頑張って〜」のいつもの声が返ってくる。だろうなと思っていたがスグリはそれにもびくついていた。

    「ほい、これオイラのマネージャー」
    「はじめまして、スグリくん。事務所から色々聞いてるから。よろしく」
    「こいつは喋り方とか細かいこと上に告げ口しねぇから安心してくれぃ」
     マネージャーの運転する車の後部座席にスグリと一緒に乗り込む。ソワソワしているがさっきまでのギリギリ泣いてないみたいな顔ではなくなっていたから少し安心した。
    「そいじゃスグリのデビュー作の詳細でもチェックしますか〜」
     そう言うと、やはり少し顔が曇る。勿論ゼイユだけでなく保護者の許可も取っているんだろうが、嫌がる子どもを無理矢理仕事させるなんて何らかの罪に問われるんじゃないのか。
    「……あんま乗り気じゃなさそうだねぃ」
    「……昔、映画出たことあって、そん時の現場がなんか怖かったから、またあんなだと……嫌だ」
     スグリの昔の活動について説明は受けたが、タイトルを聞いても知らない映画だったからどんな雰囲気だったかは想像もつかない。だけどどんな明るい素敵なコメディだろうと監督やディレクターが最悪のクソ野郎だったなんてのはまああるから、何か嫌な思いはしたんだろうとは分かる。それも物凄く小さな時に。
    「……でもその後も地元のテレビ出てたんだろい」
    「あの時は……地元だから、スタッフさんも知ってる人いっぱいだったし……歌うのは好きだから」
     歌うのが好き。確かに見た映像では楽しく仕事をしているように見えた。
    「……今回の撮影って、怖い人いねぇかな?」
    「どうだろうねぃ……実はそもそもオイラもあんま詳しく聞いてねぇんだわ」
     パラパラと資料をめくり、横から覗き込んできたスグリと一緒に黙って文字を読む。書いてある監督脚本は一緒に仕事をした事がある人で、別に悪い人じゃねぇし、酷い事は言われない、とは思う。まわりの細かいスタッフは分かんねぇけど。
     とりあえずあらすじの説明に目を通す。主人公は喧嘩は強くないが心優しいヤンキーで、一つ歳上の憧れの先輩を追いかけヤンキー高校に入学する所から話は始まり、何やかんやあって同い年の近所のお嬢様学校に通っているヒロインの事を好きになり、同じ高校のやつに絡まれていた所を助けた事で怪我の手当をするためヒロインの家に招待され、そこで憧れの先輩がヒロインの兄であった事を知る、というのが一話のあらすじらしい。
     ラブコメ漫画が原作で、主人公はうちとは違う事務所の売り出し中の若手俳優。ヒロインは人気アイドルグループの人気メンバー。そして主人公憧れの先輩を演じるのがオイラ。資料を読んでいるとヒロインの家は三人兄弟で、もう一人弟が居て、それがスグリになるらしい。
    「なんだ。じゃあスグリの役はオイラの弟って事か」
    「えっ」
    「弟は基本的に家のシーンにしか出ないっぽいし、撮影する時はほぼ一緒になりそうだねい」
    「……ほんとに?」
     あからさまにホッとした顔をしていて、何か、頼れる人が居ないであろう心細いこの状況でちょっと心開いて懐いてくれ始めてんのかもと思うと素直に可愛がってやりたい気持ちになる。あと本人はまだ事務所の上の方が何を考えているか知らないだろうからシンプルに可哀想で何かしてやりたいとも思う。
    「……インタビューってそんな時間もかかんねぇよな」
    「撮影もインタビュー風景だけだし、質問答えて終わりだから多分」
    「じゃあ終わったら今日もう仕事ねぇしスグリに美味いもん食わせに回りてぇから帰りは途中で降ろしてってくれい」
    「了解〜」
     運転しているとことに急に話しかけてもマネージャーは慣れたように適当な返事をしてくれる。そしてそれを聞いていたスグリはソワソワとした表情でこちらを見上げていた。
    「スグリの兄ちゃんになる記念に兄ちゃんぽいことしたくなっちまった。甘いもの食いに行こうや」
    「甘いもの……?」
    「そー。さっき嬉しそうにお菓子食ってたから。好きなんだろい?」
     キラキラした目で「都会の甘いもの……」と小さく呟く。その嬉しそうな顔を見て、ふと、見せられた『リンちゃん』の時のスグリの動画を思い出す。へにゃへにゃの気の抜けた笑顔で楽しそうに小さい子と手を繋いで童謡を歌うその姿。
     どうにかあの顔で仕事できるようになってくれりゃ先輩としても嬉しいんだけどねい。なんて思いながらスマホでこの近くのオススメスイーツ店の検索をかけた。



    『何かカキツバタが知らない子にめっちゃ食べさせてたんだけどw』
     その日の夕方。SNSにあげられたその一文と、盗撮写真。クレープを嬉しそうに頬張るスグリと、コーンに入ったアイスとシュークリームを両手に持ち、和菓子屋の袋を腕から下げて機嫌よく笑っているオイラのツーショット。
     盗撮とは思えないほど妙に写りのいいその写真は瞬く間に拡散され、これは怒られるか? と身構えたが、事務所の幹部ふたりからほぼ同時に「写真気をつけてって普段から言ってるよね?」と「これキャスト解禁でスグリくんの情報出たら話題性やばいね」が送られてきて、あんま真剣に考えなくてもよさそうだと安心する。
     そして多分上のやつらが慌てているだろう中、呑気にスグリとうちの事務所所属タレント御用達レストランの個室でパスタを食べていると、仕事を終わらせたゼイユがマネージャーと一緒に駆け付けて来て「なんであたしよりあんたの方が先にスグとツーショット話題になってんのよ!!!!」と本気でキレられた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖💖🙏🙏💖💖💖💕💕🌋💕💕💕💕😍😍😍❤💖💖☺💘👏💖💖🙏💖🙏🙏🙏🙏🙏💖😭😭❤❤❤🙏🙏👏👏👏💖💖💖💖💖💖💖💗💗💗💖💖💖💖💖💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works