明星ある日、夢を見た。昔の夢だ。自分の夢すら見失い、ただ漠然と今を呪う。明日への希望なんてない。くらがりの奥底でもがき生きている。そんな頃の夢だ。夢だと悟った時、唐突に暗闇のなかに放り出された。あ、もうだめだ。悟る。夜風が身を撫でる。このまま消えるのが一番なんだ。そう思う。景色に促されるように無限に広がるさざなみ浮かぶ星空に身を落としたところで、ふっと目が醒め、解き放たれた。あんなに小さかった体も、鏡面を伺えば余るほどの背丈に変わっているし、傷まみれだった全身も今や恐怖を感じるほどに滑らかだ。外を覗き見ると明星もこちらへ目を向けてきた。明るく、眩しい星だ。あの頃は、何も追うにも枷がついて、こんな星すら見えなかったような気がする。そう感じた夕闇の刹那だった。
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