後日ネズミが届いたくるるるる… ふる…くぅ、くぅ
私は一体何をしているんだろう。
ルシファーはフクロウのようになったアダムを撫でながら遠くを見つめた。気持ちがいいのか甘え声を出している。可愛さに欲望が溢れつつ過去に想いを馳せた。
「おいルシファー!お前どれだけ掃除してないんだよ!」
「ン、ン、ン…掃除をしたのは、何十年前だったかな…」
ハァ!?有り得ねェ!といつもの様に騒ぎ立てるアダムを鬱陶しく思いながらアヒルちゃん人形を作っていると、アダムが妙な事を言い始めた。
「あのクソボロ図書館とか埃の山だったぞ!この本以外は触りたくないほど汚い!掃除しろ!」
「待て」
「?まだ掃除する時じゃないとかほざくつもりか?」
「いや、そうじゃない…何の本を持ち帰ってきたんだ、アダ…ム」
振り返るとフクロウもどきと本が落ちている。本を確認すると鳥の悪魔を作る魔法を閉じ込めていた物だった。首を回しながらアダムはほろ?と起きた事を理解していない顔を晒している。
なんて事だ。アダムが、フクロウになってしまった。不幸中の幸いというのか魔法が錆びついていたのか、アダムの体が特別なのか、悪魔にはなっていない。
「あ〜…アダム。変なところはないか?」
「ほ?…ほお!!!!」
変化した事に今気がついたのか膨れながら怒声をあげる。それを無視してアダムを抱っこした。
「ほ゛ゥほ゛!!」
「暴れるな!今魔法を観ているから大人しくしてくれ!」
そう言えばピタッと大人しくなる。勝手に掃除しようとしたのはアダムだが、あの本を置いたまましたのは私だ。だから責任をとってアダムの魔法を解かないといけない。くるくる回しながらアダムを観ていると、だんだんと目を細めていく。
「なんだ、眠たいのか?」
「ふきゅ、ほるる…」
起きてくれないと困るな。ぐいぐい手で顔あたりを揺らす。眠たそうに目を開き周りを見た後、手のひらに頭を寄せ始めた。
かわいすぎる!!!!
脳が弾けて夢中になって撫で続けた後、我に帰り今虚無を見つめていた。こう簡単に触れる生き物はキーキー以来だ。まだもふもふしたりない。すぐ元に戻せる事がわかったが、もうしばらくこのアダムを堪能したい。どう言いくるめるか、悩ましい事だ。
まぁ、時間経過で戻ると嘯けばいいか。どうせ気づかないだろう、アダムだし。ルシファーはフクロウ用の品物を購入する事を決めた。