「せっかくですので、聞かせてもらいましょうか…。あなたがアクシズを落とした意味を」
「……」
「あなたと俺は共に世界の行く末を憂い、それぞれに行動を起こした…」
「だが、俺としてもあなたがあそこまで徹底的なやり方に出るとは思っていませんでしたよ」
「あなたの真意を聞かせてもらいたい」
「…私は世界を変えたかった…」
「地球を死の星とする事で人類全てを宇宙へ上げて、ニュータイプへの変革を促す…」
「それが、あなたの狙いだったのですか?」
「人がそれほどまでに便利に変わるとは思ってはいない…」
「だが、地球が失われるという大事を前にいがみ合うだけしかなかった人と人の間に何かが生まれると思った…」
「その結果、アクシズが落ちても落ちなくても世界は変わると信じていた」
「なるほど…。あなたにとって重要なのは過程であり、結果はどちらでもよかった…と」
「いや…。むしろ、誰かがあなたを止めてくれるのを願っていたのでは?」
「それは、どうかな?」
「生き延びた後に聞いたよ。一部では私がアムロと決着をつけるためにあのような暴挙に出たと噂されていると」
「それは間違いではない。私は世界を変え、私自身を変えるつもりだったよ」
「もし、アクシズが落下していたらどうするつもりだった?」
「その時は残った地球の戦力を結集して、スペースノイドに復讐を果たすという筋書きになったまでです」
「そして、泥沼の戦いが始まる前にあなたに人類を託し、ゼロ・レクイエムを遂行したでしょう」
「私も君も歴史から見れば、世紀の大悪党だな…。否定する気はないが」
「元より覚悟の上です。世界が明日を迎えるためならば、惜しくはありません」
「ありがとうございます、クワトロ大尉。こうしてあなたと話が出来た事を誰かに感謝したい気持ちです」