天使パロその2 スレッタは見習い天使です。
麗らかな春の夜に目を覚まし、すべての天使と同じように柔らかな雲をゆりかごに、波と風の音を子守唄に、天の御下で美しいものに囲まれてすくすくと育ちました。周囲に天使はおりませんでしたが、天使の羽根の使い方は海の泡が、天使の役目や天のお言葉は風が優しく丁寧に教えてくれました。彼らは言いました。『天使は神さまのために働くことが使命なのだ』と。ですからスレッタは雲の上からときおり下界を眺めながら、一人前の天使になるための勉強に励みました。
そして、手足が随分と伸びて翼が大きく成長したころ、神さまから一人前となるための試練を授かりました。
『善き人をとびきり幸せにすること』
それがスレッタに与えられた初めてのお役目でした。優しい人々の役に立ち彼らに喜んでもらう、なんと素晴らしいお役目でしょう。このお役目を果たせばスレッタは一人前の天使となり、楽園の門をくぐって神の御側へと侍ることが受け入れられるのです。
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