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    M_D_210

    @M_D_210

    SSまとめ

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    M_D_210

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    2024/11/29 開催のWebオンリー「運命のくじ引き」にて開催していた拘束兄さん企画に出せていただいたもの その1です。
    原作や映画のワンシーンで、色んな拘束もしもを妄想しました。

    もしもいろいろ【もしも映画でダークランドに落ちたのが兄さんだったら】

     「ぐッ……!!」
     ずるずると、全力で抵抗するマリオが引きずられていく。ムーチョだけでは引く力が足りないのか、先頭ではハンマーブロスとノコノコが一緒になって縄を引っ張っていた。連行する軍団員たちのうち何人かはすっかり疲れ果てた顔をしていたが、他は手馴れた様子で淡々と縄を引いていく。マリオの都合なんて全く考えない乱暴な引き方に、マリオは自分の腕に引きずられるように無理やり前へ進まされる。
     敵対心を剥き出しにした目で暴れ続けているマリオだが、当然内心は不安でいっぱいだった。知らない世界で突然恐ろしいスケルトンに襲われたと思えば、見たこともないようなモンスター達に捕まってしまった。自分はこれからどうなるのか、左右を飾る恐ろしい銅像達が余計に恐怖を煽る。
     それでもそんな不安に負ける訳にはいかない。そう思える理由は弟への心配だった。自分がこれだけ恐ろしい目に遭ったのだ、こんな場所でルイージを一人にしておくわけにはいかない。弟は昔から怖いものが苦手なのだ。
     「うわっ!?」
     一際強く縄が引かれ、力負けしたマリオは重力に従いつんのめる。先頭を歩いていたモンスターが「ダークランドで捕まえました」と無機質な声を上げた。
     「…!!」
     すぐさま顔を上げたマリオは、あまりの重圧に思わず息を呑んだ。
     魔王。そんな言葉が自然と浮かんでくるような巨大な存在が、こちらを見下ろしていた。ズシン、ズシンと、怪物が一歩踏み出す度に地面が揺れ、思わず身が縮こまる。
     「うわあぁっ!?」
    不意に隣へ現れたモンスターが杖を一振りすると、突然身体が浮き上がった。
     縄は解けたが代わりに手足はぴったりとくっついて動かなくなり、その足も地面には届かない。足音を響かせながら近づいてくる怪物を前に、できることはもう何も無かった。
     「キサマの名前は?」
     そう言いながら怪物の指に軽くつつかれれば、宙に浮いた身体は抵抗なくくるりと回る。
     マリオは反射的に愛想笑いを浮かべそうになって…やめた。そのまま何も答えずに怪物を睨みつける。くるくると回りながら睨みつけたところで間抜けでしかないだろうが、知ったことじゃない。こういう時こそ気持ちが負けては駄目なのだ。
     無言を貫くマリオの態度に気を悪くしたのか、怪物の顔から笑みが消える。
     「知っていると思うが、ワガハイはプリンセスを妻に迎え世界を支配する」
     ジャキン、と巨大な爪が音を立て、マリオは思わずびくりと身を震わせる。喉に突きつけられた爪は今はまだマリオの顔を上げさせるだけだが、その気になれば自分の身体なんて簡単に切り裂かれてしまいそうだ。
     「ところがひとつ問題があるのだ。我が婚約者を誑す者がいる…ヒゲが生えているそうだ!キサマのように…知り合いか?」
     「…!!」
     ルイージ。そう叫びかけたのをすんでのところで堪える。
     無事だったのかという安堵と、今まさに目の前の怪物に弟が狙われている恐怖。一向にまとまらない思考の中、震える口を開く。
     「…知らない」
     マリオは何も言わないことを選んだ。ここで兄弟だと知られてしまえば、自分は人質にでも使われるかもしれない。目の前の怪物よりも、弟を危険に晒すことの方が余程怖かった。
     反抗の意思を示された怪物は目を細める。それは多分笑みではなく苛立ちだった。
     「ならばしょうがない!これでも知らないか?」
     巨大な爪が器用にヒゲを一本引っ張り、鋭い痛みが走る。けれどマリオは睨むのをやめない。
     「知ら…ない…!」
     …誤魔化す余裕もなくこれだけ必死になって隠しているのだから、大事な存在なのはもう誰から見ても明らかだろう。それなのに黙っているのはもうほとんど意地だった。痛みと恐怖で涙が滲んでも、こんな怪物の思い通りになるのだけはどうしても嫌だった。
     「ッ…!?」
     変わらない返答は怪物を酷く苛立たせたようで、摘まれたヒゲはそのまま引き抜かれる。ビリ、と走った痛みを上書きするように、今度は束でヒゲを掴み上げられた。

     「これでも知らないか!?」
     「知ら、ない!!」

     ブチ!容赦なくヒゲが引きちぎられ、情けない絶叫が響き渡った。
     そのまま物のように投げ捨てられ、マリオはゴロゴロと勢いよく硬い岩の床を転がる。
     「とっとと連れていけ!!」
     立ち上がろうとしたところで間に合う訳もなく、マリオはすぐさまモンスター達に押さえつけられ、簡単に狭いオリへ押し込められてしまう。口を割らなかった達成感なんかより、こんな小さなことでしか抵抗できない無力さが悔しかった。

    ──────

     ガシャン、ガシャンと、金属の軋む音が響く。
     「おいおい、ムダなことするなよ」と呆れたようなペンギン王の声も、無邪気に絶望を煽る青い星の声も、マリオの耳には入らない。

     「ルイージが頑張ってるのに、ボクだけこんな場所でじっとしてられないだろ…!!」

     ガシャン、ガシャン。音は途切れることなく続く。
     オリは虚しく、そして諦め悪く揺れ続けていた。

    _______________
    【もしもルイマン2で捕まった兄さんに意識があったら】

     頭ひとつ、指先ひとつすら動かせない。当然だ、絵というのはそういうものなのだから。表情が変わる絵なんて気味が悪くて仕方ない。
     「グワッハッハ、いいザマだなァ…マリオ?」
     ぐ、と紫色の瞳が目の前へ近づく。不気味な光が網膜へ焼き付くが、今は目を閉じることも逸らすこともできない。瞳の持ち主…キングテレサは、満足そうにその絵を眺めた。
     「天下のヒーロー様が随分な間抜けヅラだな、こりゃ傑作だ!」
     顔の筋肉は固定されたまま、ピクリとも動かせない。自分の表情は確認できないが、目は驚いて見開かれたその時のままだ。さぞかし間抜けに見えているのだろう。そう思うと一層悔しさが増す。
     「やっぱり絵ってのは、魂が込められてこそだよな?」
     キングテレサは心底愉快そうに、わざとらしく同意を求める。
     「それに、怨念の篭った絵の方がオバケっぽいだろ?」
     バカにしたような声にも、マリオは黙っているしかなかった。言い返したいことは山ほどある。けれどそのどれも音になることはない。絵に沈められたままでは、文字通り手も足も、声すら出せない。
     「キサマがマヌケなせいで、釣られた弟共々オレ様の屋敷を飾る装飾になるんだ。最高の芸術品になれるんだぞ、ありがたく思えよ!」
     そんなはずは無い。今に見ていろ、ルイージならきっとやってくれる!マリオはぐっとキングテレサを睨みつける。しかしやはりその言葉が音になることも、絵の具の瞳が光を宿すことも無かった。
     絵画の表面は、相変わらず無機質な平面だ。

     「兄弟揃って飾ってやるのが楽しみだな?グワッハッハッ!」

     抵抗することも言い返すことも、歯を食いしばることすらできない。どこにもぶつけようのない悔しさの炎をぐるぐると渦巻かせながら、マリオはただそこに飾られているのだった。

    _______________
    【もしもスパピチのOPで兄さんが一度逃走していたら】

     「ハァッ、ハァ……!!」

     床を蹴り、動かしづらい身体を全速力で前へ進める。

     平和な日になるはずだったのに、とマリオは思う。
     今日は弟と一緒にお城へ呼ばれて、ピーチ姫と最近の冒険の話でもしながらのんびりお茶する予定だった。それなのに、つい先程いつの間にか現れたクリボーが杖を振ったと思えば、城内はめちゃくちゃになってしまった。キノピオ達の笑い声、泣き声、怒鳴り声の中、マリオもなぜだか笑いが止まらなくなって。そのうちに城は突撃してきた軍団員達に占拠され、大騒ぎが落ち着く頃にはマリオとルイージも縛り上げられてしまっていたのだった。
     けれど、そこで諦めるマリオではない。軍団員達の勝利の笑い声が響く中、縄を引くブロス達の一瞬の隙をついて思い切り地面を蹴る。
     あっ、とブロスが声を上げるよりも早く、マリオはそのまま出口へ向かって駆け出した。
     「兄さん!?」
     「ごめんルイージ、すぐ助けにくるから!!」
     後ろから聞こえたルイージの声に、マリオは振り返らず叫んで返す。一人だけ逃げることに申し訳なさがないわけではないが、腕を縛り上げられたままでは戦えない。走ることすらままならないのだから。姫も心配だし、今ここで自分が捕まるわけにはいかなかった。それに、ルイージならきっと大丈夫だろう。

     腕が体に固定されたままで走りづらいが、持ち前の足の強さだけで身体を前に進める。すぐ後ろからブロス達の声が聞こえる。足を止めるわけにはいかない。
     「……!!」
     広い廊下を駆け抜けるうち、別のブロス達がキノピオ達を捕まえているところに出くわしてしまう。後ろを走るブロス達が叫べば前のブロス達もすぐにこちらへ気が付き、マリオを捕まえようと次々手を伸ばす。
     挟まれた。しかしマリオは迷わない。再び思い切り地面を蹴って大きくジャンプし、一人のブロスの頭を全力で踏みつけた。その勢いで飛び上がり、廊下の向こう側に着地する。一瞬よろけて冷や汗が出たが、何とか体勢を立て直してそのままもう一度走り出した。転びでもしようものなら当然あっという間にゲームオーバーだ。
     「すぐ戻るから!!」
     ルイージに言ったのと同じように後ろへ声を投げ、駆け抜ける。
     とにかく今は自分だけでも逃げなくては。それだけを考えて、不自由な身体のまま全速力で駆け抜ける。

     後ろから伸びてくるブロスの手をかわしながら走り続けるうち、やっと出口が見えてきた。
     扉は薄く開いて、僅かに光が入ってきていた。外にさえ出られれば。息が切れるのも無視してマリオは全力で走り抜けようとする。

     「ぅ、っ!?」

     あと少し。あと少しで扉に届くというところで、身体が大きく後ろに引っ張られた。
    勢いを止められなかった体はバランスを崩し、床へと強かに鼻を打ち付けてしまう。
    追いつかれた、そう気が付く間もなく何人ものブロスの体重がのしかかり、床へと押さえつけられる。鼻が痛んでも、唯一足掻いていた足すら押さえつけられても、マリオは諦め悪く身体を暴れさせる。

     「離…せっ!!」

     しかしどうやら、今回は諦めの悪さだけではどうにもならないようだ。
     叫んだ声すらブロス達に押し潰されて、掻き消されて。結局のところ、マリオは先程よりも念入りにぐるぐる巻きにされて連れていかれることになるのだった。

    _______________
    【もしもマリルイRPG3のショクチュがもっと危険だったら】
    ※一応捕食未遂注意(直接描写はなし)

     ぶちゅり、ぐちゃ、ぐち。木漏れ日も薄れる森の深くに、無駄な足掻きの音が響いている。
     「クソッ…!」
     手袋が滑る度、不快な音がまた鳴る。ショクチュに下半身をすっかり呑み込まれてしまったマリオは、どうにか抜け出そうと闇雲に身体を捩っていた。

     遡ること少し。ショクチュ達に取り囲まれたマリオはあっという間に背後から呑み込まれて連れ去られ、そのままルイージとも引き離されてしまった。
     そしてその後ショクチュ達は何やら揉めていたようだったのだが、不意にマリオを呑み込んでいたショクチュが群れを離れ、あっという間にこんな森の奥深くまで逃げてきてしまった。その間マリオは囚われた足を引き抜くこともできず、されるがままに連れてこられたというわけである。
     「離せって…言ってるだろ!」
     そう叫ぶマリオの声には焦りが滲んでいた。囚われた時には腹ぐらいまでしか呑み込まれていなかったのに、もう既に胸まで沈んでしまっている。けれどいくら叫んだところでショクチュには届かない。何処吹く風とばかりに、獲物を呑み込み吸い尽くすランチタイムを今か今かと待っているのだ。
     仲間を撒いたショクチュだが、未だ獲物を横取りされまいと森の奥へと歩き続けている。そして当の獲物、ここから抜け出せないマリオも抵抗できずどんどん奥深くまで連れていかれてしまっている。これではルイージやイエロースターもすぐには見つけられないだろう。自力で脱出しなければ、そうでなければ…

     「このっ……ッあ!?」
     ずぶり。どうにか隙間をこじ開けようと無理やりに突っ込んだ指が蜜で滑る。ショクチュの口の中へ入り込んでしまえばあとは一瞬だった。あっという間に呑み込まれ、気がついた時にはもう右腕も胴から離せなくなる。
     「あっ、あ…!?い、嫌だ…!!」
     片側の支えを失った身体は、重力と吸引に従ってずふずぶと確実に沈み始める。蜜まみれになった手袋はショクチュの外皮を虚しく滑るばかり、藻掻いていた足も強く吸われれば動かせなくなる。役に立たない左手だけを残して完全に身動きの取れなくなったマリオは、もう皿に乗せられた料理に他ならない。
     ちり、と、ずっと蜜に浸かりっぱなしだった足の方が焼けるような痛みを訴え始める。肩へ、首へ、まるで引きずり込むように蜜がまとわりつく。まずいまずいまずい、このままじゃ…!!

     「待っ、」

     ごぷり。焼け付くような甘みが、口いっぱいに広がった。

    …………

     兄さん、と呼びかける必死な声に、マリオの意識は浮上する。ぼんやりと目を開ければ、ルイージとイエロースターの顔が視界に入った。
     ルイージはいつものように大泣きするでもなく引き攣った泣き声でボロボロと涙を零しており、イエロースターもほとんど泣きそうな顔をしていた。よっぽど慌てて取り出したのか辺りにはアイテムが散乱していたし、よく見れば自分のウェアもひとつ前に着ていたものだ。
     …どうやら相当酷いことになっていたらしい。
     マリオはひとつ息を吐くと、それ以上思い出そうとするのをやめた。それから、心配かけてごめんな、といつものように弟の背中をさすってやるのだった。
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    😭😭👏👏❤❤👍👍🔗🔗😭☺💴
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    Replies from the creator

    recommended works

    gohan_oic_chan

    PAST行マリ
    卒業後同棲設定
    なんか色々最悪です
    証明 朝日を浴びた埃がチカチカと光りながら喜ぶように宙に舞うさまを、彼はじっと見つめていた。朝、目が覚めてから暫くの間、掛け布団の端を掴み、抱きしめるような体勢のまま動かずに、アラームが鳴り始めるのを待っていた。
     ティリリリ、ティリリリ、と弱弱しい音と共に、スマートホンが振動し始める。ゆっくりと手だけを布団の中から伸ばし、アラームを止める。何度か吸って吐いてを繰り返してから、俄かに体を起こす。よしっ、と勢いをつけて発した声は掠れており、埃の隙間を縫うように霧散していった。
     廊下に出る。シンクの中に溜まった食器の中、割りばしや冷凍食品も入り混じっているのを見つけると、つまみあげ、近くに落ちていたビニール袋に入れていく。それからトースターの中で黒くなったまま放置されていた食パンを、軽く手を洗ってから取り出して、直接口に咥えた。リビングに入ると、ウォーターサーバーが三台と、開いた形跡のない数社分の新聞紙、それから積み上げられたままの洗濯物に囲まれたまま、電気もつけずに彼女はペンを走らせていた。小さく折り曲げられた背が、猫を思わせるしなやかな曲線を描いていた。
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