はじまりの話よりも前の話(雑渡編) だいたいがあの土井半助という男は、雑渡に冷たいのだ。
尊奈門に冷たいのは仕方がない。土井の都合はお構いなしで、あれだけ押し掛けて付き纏っていれば、対応が雑にもなる。
だが、雑渡は彼に何かした事はない。むしろ、ほとんど接触がない。
最初は気にしていなかった。雑渡の組頭という立場と、忍術学園の教師という立場なら、警戒して然るべきだろうとさえ思っていた。
幾度も忍術学園との縁ができるうちに、おや、と雑渡は気付いた。
部下たちが、土井とそれなりに仲良くやっている事に。
誰とでもという訳ではないが、タソガレドキ忍者というだけで毛嫌いはしていない。尊奈門をよく迎えに行く山本や高坂は割と頻繁に会うせいか、よく話をしている。彼らとの会話では、笑うことさえしていた。
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