水の二人今日のフォンテーヌは晴天。
ヌヴィレットも仕事がないので、僕達は散歩に出掛けた。
ヌヴィレットと他愛ない会話をしながら散歩をし、着いた先はフォンテーヌの海がよく見える場所。
「フリーナ。海の中に入らないか?」
「それもそうだね。せっかくだし……」
僕とヌヴィレットは手を繋いで海の中に入る。
キラキラとしたフォンテーヌの海の中は美しい。
海洋生物が嬉しそうに寄って来たので彼らの頭を撫でる。
「ふふ、キミは人懐っこいね。ヌヴィレットも触らないかい?ラッコだよ」
「私は大丈夫…」
「この子は撫でてって言ってるよ?」
甘えてくるラッコを抱き上げてヌヴィレットの目の前に持っていくと彼はラッコの頭を撫でる。
「ふふ…」
「フリーナ?」
「いや、なんだか面白くてね…」
キュッ、キュッって鳴いて喜ぶラッコと無表情で撫でるヌヴィレットがなんだか面白くて笑ってしまう。
ヌヴィレットはなぜ僕が笑うのか分からないらしく、分からないという顔をしながらラッコを撫で続ける。
ラッコも気持ちがいいのか目を閉じている。
「キュッ!」
「おやおや、もういいのかい?」
「キュッ、キュッ」
ラッコは満足したのか僕の手から抜け出して、僕達の周りをクルクル回り、仲間の所に泳いでいく。
「あの子にも仲間がいるんだね」
「そうだな。フリーナ」
「なんだい?わっ!!」
いきなりぎゅっと抱きしめられて驚いてしまう。
「ぬ、ヌヴィレット!?」
「こうしたかった」
「あ…そ、そうなのか…」
驚きながらも僕はヌヴィレットを見つめる。そしてヌヴィレットは僕にキスをする。
「んっ…ふっ、ん…」
舌を絡めるキスをし、ゆっくりと唇が離れる。
「ヌヴィレット…」
「フリーナ。愛してる」
「っ…僕も大好きだよ」
そして僕達はもう一度キスをする。
海の中は静かでまるで僕とヌヴィレットだけの世界みたいで、僕は幸せで胸がいっぱいになってヌヴィレットに強く抱きつく。
するとヌヴィレットも抱きしめてくれて、僕らはしばらくの間そうして過ごし、そして手を繋いで海の中を散歩し、時々キスをしてみたりして、とても幸せな一日を過ごしたのだった。
end