『ふたり』の夢を叶えた、その先は(仮) アスランと休暇を合わせて実現した、丸一日デートの日。その終わりにオーブの海が見たい、とねだった先に訪れたのは、アスハ家所有のプライベートビーチだった。
日暮れが近付いている。水平線から見える夕日と深い色に変わりゆく空、きらきらと光る海とのコントラストが美しい。
一定のリズムで静かに寄せては返す波は、忙しい日常を送る中、知らずに溜め込んでいた淀みを洗い流すかのように癒してくれる。
時折、穏やかに頬を撫でる潮風が、昼間、彼とお揃いで買ったシャツの裾を揺らした。
護衛を少し離れた場所で待機させている今、ここには私とアスランしか居ない。聴こえてくるのは、ふたりの息遣いと足音、静かな波の音だけ。普段は、多くの人とともに行動している所為か、まるで、アスランとふたりきりの世界に迷い込んだかように錯覚してしまう。
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