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    🌟世界線 クリア後のお話。

    ##星のマイラ

    9月某日 式典にて。未知の惑星での救助活動を終え、隊員及び数十名の遭難者全員揃って無事帰還した数日後のこと。
    シェパード率いるレスキュー部隊は、隊員の一人であるラッセルの、その家族により催された帰還パーティー…及びラッセルから彼のお母様へお土産を贈る「お土産授与式」に招かれていた。

    カギヤ星有数の企業の御曹司であるラッセルの親類が集まるそのパーティーでは、シェパードとコリーは忙しくもぎりをやっていた。
    ラッセルは久しぶりに会えた喜びで嬉々としてお母様と話している。
    ディンゴはあの遭難からかなり回復はしたものの、あのラッセルのお母様との顔合わせに緊張しているのか……かなりゲッソリとしており、それをパピヨンとバーナードが元気づけていた。

    式が始まる数分前、少しもぎりの作業に落ち着き出始めたようで、ようやくシェパードとコリーが雑談を始める。

    彼らが話す内容は、救助犬のオッチンと共にあの救助活動にて大きな手柄を取ったマイラのことだった。
    本来は大学の夏休みにインターン生として参加するはずだったが、幸か不幸か初日にして二重遭難という緊急事態と重なり、まさかちょうど本部にいただけに、その白羽の矢が立つという異例なケースで駆り出されたのだ。
    そしてオリマーや隊員達だけでなく、彼の救難信号と共に散りばめられた彼の日誌を便りに辿り着こうとした末に、遭難してしまった者も大勢いるよ明らかになり、救助やらそして受け入れ態勢の整う期間やら色々あっり約2ヶ月間掛かったのだ。…下手したら夏休みが終わってもおかしくなかったのだ。
    帰還するまでの間は、マイラは今後の大学生活については頭を抱えていた。
    (コリーはマイラを落ち着かせようと必死に励ましていた)
    だが、最終的には本部と大学との調整の末、「長期インターン」扱いとなりどうにか落ち着いたのだった。

    「─マイラさんのことを言うのもなんですけど、少し…勿体なかったですよね。」
    コリーは苦笑いしながらそう言った。
    …内心、私も同じ思いだった。
    本来、新米隊員は研修を終えてから各部隊に配属される。
    今回のような任務は、一定の経験を積んでいなければ、自らの命すら危険を伴ってしまうものだ。
    しかし、マイラは大学から来たインターン生で、研修すら受けていない。
    しかもひょんなこと突然に任されてしまったにも関わらず、オッチンやあの惑星の原生生物 ピクミンと協力しながら、殆ど全員を救出してしまったのだ。
    あのディンゴの力を借りることなく、彼の口からスゴイと評した(とパピヨンが話していた)程。
    …だからこそ救助犬を扱える近年数少ないレスキュー隊の素質があるにも関わらず、手放してしまうのが、私にとってはかなり惜しいのだ。
    だがマイラを引き止めてしまうのは、彼の夢を我々の意思で押し潰しかねない事となる。
    それでも
    今回のレスキュー隊での任務が、彼にとって経験の一つになっていたら、私にとっては嬉しいことはないはずだ。

    「─『若い内から何事もキャリアを詰むのも大事デース!』って、バーナードさんも言ってましたね。」
    …流石、数々の経歴を持つバーナードだ。これはニジョウ星の者の性質、というものだろうか。

    だけどあの日の別れ際の際に、マイラに漏らしてしまったのだ。
    「今回の長期に渡る任務を見て、君を採用したいところだが……もしいつか、君の気持ちが変わったならば、いつでも歓迎しているからな。」
    …これが私の本音だった。


    正式なレスキュー隊のメンバーではないものの、マイラもパーティーにお呼ばれされていた。
    当初はマイラは慌てて断るも、彼の功績を讃える事を伝えると、少し考えて、ようやく出席することを決めたのだ。
    それに加えて探索期間の間、ラッセルはマイラにかなり好印象を抱いたようで、今度の冬に彼の実家の企業へのインターンシップに招待しようとも考えていたようだ。
    「─専門外なので、ボクには未だに理解できないですけど、マイラさんはラッセルさんから道具を開発して貰う度に、かなり興味深そうに何度も聞いてましたね。」
    「私も何度聞いてみてもさっぱりだが、あの時の科学について語る彼の顔は嬉しそうだったしな…。」

    …それにしても、式が開くまであと少しだというのに、マイラの姿は見えない。
    「…コリー。マイラから何か連絡が来てはいないのか?」
    「いえ…もうすぐ始まると言うのにですが…。」
    コリーとシェパードは顔を合わせる。
    大学生だからこういった場に行くのは慣れていないだろうが、社会では最低限のマナーを弁えてこそが前提となっている。
    マイラの心配をしていると、シェパードの携帯から着信音が鳴る。………本部からだ。
    「すまないコリー。すぐに戻る。」と伝えると、シェパードは電話に出るために席を離れていった。

    …少し時間が経って、シェパードがコリーの元に戻っていく。
    「隊長、……一体何の連絡があったのですか…?」
    心配そうにしている彼の前に、彼女は深刻そうに俯いている。

    今から彼にどう伝えればいいのだろう。
    彼だけでなく、他の者にもどう伝えよう。
    もうすぐ式が始まるのだが、ただ「病気で休むことになった」と伝えればいいのか?
    いや、違う。そうじゃない。

    彼女に伝えられたのは、マイラが失踪した事だ。
    最初は大学の方から。彼と話し合う為に電話を試みようとするも、繋がらず。
    そして彼の借りる部屋の管理人に電話したが、インターンに行ったきり未だに帰ってきていない、と。
    そしてマイラには母親がいたのだが、幼少の頃に養護施設に引き取られて以降、母親は消息を絶った。
    最終的には本部からマイラの捜索届けを先程出したのだ。
    ただ今回は、シェパード達とは別の部隊が担当するとのことだった。

    その件について、どう口に出せばいいものか。

    賑やかな会場の中、シェパードはただ一人、その真逆の場に落とされたような気分だった。
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