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    shinokoko

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    shinokoko

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    かの有名な元フリーホラーゲーム ibパロ二初の続き です
    かけたところから追加しております!
    想定より時間かかって終わってないです💦 すみません

     ⚠️注意⚠️
     “個性”無し世界(キャラの独自設定あり)
     年齢操作あり
     諸事情により、後々作中に既存キャラの名前(勝手に命名)が出てきます
     パロに合わせるための原作ゲームの内容・キャラ設定改変

     諸々、なんでも許せる方向けです!

    Aの肖像 新たに合流した少年、アキラはなんとも不思議な雰囲気を持っていた。短く刈られた白い髪や十歳と言う年齢にしては上背もあり体格も良い。スポーツを嗜んでいるか外を元気に走り回るヤンチャのようにも見える。しかし血のように深い赤色の瞳はキラキラと輝いているようにも、老成しているようにも見える。しかし全体的には子どもらしく、会話も行動も思いつくままなところがあった。
    「与一の薔薇は、赤いんだな」
     与一に懐いたようで、手を繋いで歩きながらアキラが言った。
    「そうだね。アキラくんの薔薇は……」
    「黄色!」
     少しだけ嬉しそうに語尾が上がるのが自慢げで可愛らしい。
    「駆藤のは青い薔薇なんだな」
     前を歩く駆藤の手元を見ながらアキラが言った。
    「ここに来る人間は皆薔薇を持っているらしい。無くしたり不用意に人に預けたりするなよ。薔薇の花びらが千切れれば自分の体も……」
    「僕、黄色も赤も好きだけど、青も大好きだ」
     注意喚起をしようとした駆藤の言葉を遮ってアキラは与一に笑みを向けている。
    「人の話は聞けよ……」
     呆れたように駆藤がため息をつく。アキラは気にしたふうもなく与一と笑い合っている。子どもでは仕方ないかと駆藤は先を警戒するように歩いていく。紫色の廊下をしばらく行くとまた扉があらわれる。そのすぐそばに脇道もあるが、ひとまずは目の前の扉だとドアノブに手をかけてみれば、ガチャガチャと無情な音がし、鍵がないと開けられないことを教えてくれる。三人は仕方なしに脇道まで戻る。分かれ道の壁には額縁が飾ってある。キャプションボードには、『嫉妬深き花』と書かれているが、ただ茶色い画面が広がるだけで花らしきものはどこにも描かれていない。
    「茶色しか塗ってないのに花だって?」
     アキラが首を傾げる。
    「俺に聞かれても……」
    「ふぅん?」
     首を傾げなが煽りあっているふたりのそばで、花と名付けられた茶色の絵画を眺めながら与一も苦笑を浮かべる。
    「俺は芸術には疎いからな」
     ばっさりと切って捨てた駆藤に僅かに眉を顰め、アキラはぐるりと与一を振り返る。
    「与一は? 知ってる?」
    「僕もあまり詳しくはないかなぁ。オルソンは特に不可思議な作品が多いそうだから」
     そう言って、与一は美術館のリーフレットに書かれていた画家の名と簡単な来歴を教える。
     幻想画家、フレデリック・オルソン。
     人によってはマイナーと称するこの画家は、美術アカデミーに所属していた初期の頃から評価が高かったという。
     その作品はは絵画から雑誌の挿絵に絵本、そればかりでなく彫刻や立体アートと多岐にわたっている。手数の多さと完成度の高さにファンは多い。
     展示会の開催は少ないが作品は高値で取引される。しかしその知名度に反して画家本人の素性はほとんど知られていない。当人が人物画をほとんど描かず、自画像らしきものが修作ですら見つからないことがオルソン氏をさらに謎めいた人物にしていた。
    「まあ、いいや。あそこにドアが見えるよ」
     アキラの指差した先には木製のドアが静かに鎮座している。
     何があるのかと眉をひそめつつ絵の前を通り過ぎ、彼らは奥にある扉へと向かった。ドアを押せばそれはすっと開き三人は中へと足を踏み入れた。
     
     
     
     side:与一
     
     

    「ここは……」
     部屋の中は簡素な作りだった。両側面の壁には僕の腰くらいの高さに棚が張り出し、その上にうさぎのおもちゃが並んでいる。ぬいぐるみに陶器の置物。絵画までもうさぎで埋め尽くされている。
     白やピンク。水色に淡い緑。どれも共通しているのはすべてが赤く丸い瞳をしていることだろうか。幼い頃なら飛び上がって喜んだだろう光景には、この年になっても思わず口元が綻ぶ。少しだけ浮き上がった心持ちのままに駆藤君とアキラ君を振り返ると、彼らは両極端な表情を浮かべて周囲を見回していた。
    「…… また、とんでもない部屋だな」
     眉間に皺を寄せながら駆藤君が呟いた。あまり表情を動かさない彼にしては珍しく、不快そうに眉を寄せている。この美術館に閉じ込められてからの付き合いではあるが、駆藤君は感情を表に表すことは少ないことには気づいていた。それは常に冷静であること、他の人間の不安を煽らないようにという気持ちからだろうと思う。まだ僕と同じ学生だというにのなんとも大人びた青年だと思っていたけれど、うさぎに囲まれた部屋に挙動が不審になるなんて普通の男の子なところもあったのかもしれない。
    「僕は可愛いと思うが……」
     首を傾げながらアキラ君が言う。こちらはまだ年齢的なものもあるのか、この人形たちに違和感はないようだった。それどころか近づいて頭を撫でる様子はなんというか慣れていた。
    「可愛いよな。与一もそう思うだろう?」
     僕を見上げて同意を求めてくる。あっという間に距離を詰めてくるアキラ君に驚きつつも、ほんのり浮かんだ微笑にキュンとなる。まだ幼いながら整った顔立ちをしていて、まっすぐに見つめてくる紅い瞳は引き込まれそうだ。
     それはそれとして、とてつもなく答えにくい疑問を投げかけられた気がする。
    「そうだねぇ。可愛いと思うよ」
     僕の答えを聞いたアキラ君は初めて満面の笑みを浮かべてくれた。
    「そうか……」
     なんとなく納得できていない声音で駆藤君が呟き、アキラ君はどこか満足げな表情を浮かべていることについつい笑ってしまう。
    「まあ、とにかくここから早く出よう。さっきから監視されているようで落ち着かない」
    「変なヤツだ」
     嫌悪を滲ませ言う駆藤君に、アキラ君は肩をすくめている。
     駆藤君の態度は別にしても、なぜこんなにうさぎだけを集めた部屋があるのだろう。
     そんなことを考えつつ部屋を見回っていると、突然ガシャンと大きな音がした。思わず小さく飛び上がり、音のした方を確認してみれば陶器のうさぎがひとつ、床に落下して粉々になっていた。けれどそのカラフルな破片の中で何かがきらりと光るのが見えた。
    「鍵だ」
     咄嗟に伸ばした手が掴まれ驚くと、駆藤君が僕の腕を掴んでいた。
    「迂闊に破片に触るな。怪我するぞ」
     そういうと彼は靴で破片の中から鍵を蹴り出して鍵を摘み上げた。当たり前のように駆藤君は茶色の鍵を僕の手のひらに乗せる。当たり前のように相手を気遣うその行動に、同性ながらグッときてしまう。顔を見られるのが恥ずかしくて俯くが、一瞬見えたアキラ君の目が燃えるようだったように見え、意識を引き戻された。
    「とりあえずここから出よう」
     この部屋で行き止まりのようだから、ここにいても先に進めないと、アキラ君の言葉に頷く。
    「そうだね。さっきの道まで戻ってみようか」
     僕が声をかけるとふたりは頷いてうさぎの部屋を後にした。
     
     
     
     ***
     
     
     
     部屋を出た三人は廊下を戻り、『嫉妬深き花』と題された絵画の前を通る。そのとき、何か大きな機械が動くような音が聞こえ、与一は足を止めた。
    「絵の中からなにか聞こえる……?」
     首を傾げる与一につられ、駆藤とアキラも絵画を見上げた。先ほどまで茶色一色だった画面の中央に緑色の双葉が見えた。それはあっという間に大きく太いツタとなって画面から飛び出してくる。そよ中心に紫色の巨大な花が花開こうとするのと、絵の飾ってあるのとは逆側の壁がミシミシと音を立てるのは同時だった。壁の亀裂からツタが這い出し、三人に向かって伸びてくる。
    「与一っ!」
    「危ない!」
     咄嗟に判断の遅れ棘の前に立ち尽くす与一の腕をアキラが掴んで引き寄せる。ツタはドア側へアキラと与一、うさぎの部屋側へ駆藤を、分けるようにそのツタを伸ばし棘の壁を作る。
    「おい! 無事か?」
     慌てた駆藤が声を上げて問いかける。
    「無事だよ」
     弱々しくもしっかりとした返事が返ってきて駆藤はひとまず安堵の息をつく。しかし与一たちとの間には棘のツタが壁のように広がり行く手を塞いでいる。鋭く大きな棘が邪魔をして手でそれらを取り除くことはできないだろう。
    「どうしよう。どうにかして合流できないかな」
     オロオロとする与一とは対照的にアキラは冷静そのものといった様子で別の方向を見ている。
    「与一。さっき手に入れた鍵であの扉が開くんじゃないか」
     扉を指差しながらアキラが与一の服を引っ張る。さすがに個別に動くことに戸惑いを見せる与一に、アキラは大きな声で棘の向こうの駆藤へと話しかける。
    「あっちの扉を見てくる」
    「ふたりでか? 大丈夫なのか?」
     慌てた様子の駆藤とは対照的にアキラは冷静そのものだ。その堂々とした態度に与一も諦めがつく。
    「少しだけ見てくるよ」
    「…… わかった。しかし無理するな」
     駆藤の返答に頷き、与一はアキラへと向き直る。アキラは与一が自分に向いたのを確認するとその手首を掴み扉へと向かう。与一が手にした鍵をドアノブに差し込むとカチャリと錠が外れた。薄暗い部屋は棚や画材、彫刻のようなもので迷路のようになっていた。足元のダンボールには無造作にキャンバスや使い古した絵筆、布など画材が放り込まれている。棘を無くすために使えるものはないかとダンボールを漁る。
    「あ。パレットナイフ」
     と、不意にアキラの呟く声がした。与一が振り向くとアキラの手にはまだ鋭さの残る大ぶりのパレットナイフが握られていた。
    「それは危ないよ」
    「…… うん」
     与一の言葉に一度は頷いたアキラだったが、その手をパレットナイフから放すことなく、与一の目を盗み服の中へと隠す。
    「何かあったときのためだから」
     そう呟くアキラの表情は固かった。しかしすぐに表情を戻すと、何事もなかったかのように与一と合流しもと来た扉へ向かった。と、突然部屋の電気が消え、ふたりは慌ててその場に立ち止まる。周りの様子から下手に動けば怪我をすると思ったのだ。しかし心配をよそに電灯はすぐに元の薄暗さを取り戻し、与一は盛大に安堵の息をつく。が、それもわずかの間だった。入ってきた扉の前には巨大な顔の彫刻が鎮座し、人の出入りを邪魔していた。
    「こんなのここにあったかな?」
     不安げに与一が言う。アキラは彫刻に触れてそれを観察している。
    「これ、動かせないかな」
    「やってみようか?」
     ふたりは全体重をかけて彫刻を押すが、巨大なそれはびくともしない。
     どれだけ力を込めてもそれは動く気配すら見せない。困り果てていると、アキラが部屋の逆側を見ながら言った。
    「あそこの扉に行ってみよう」
    「扉なんて……」
     あっただろうかと、アキラの視線の先を見てみればそこには確かに新しい扉が現れていた。
    「でも、駆藤君が……」
    「でも、ここにいたって合流できるわけじゃないんだ」
     煮え切らない与一にアキラは説得を試みる。
    「…… わかったよ。行ってみよう」
     ここにいても解決策がないことを理解した与一はアキラとともに次の部屋の扉を開けた。
     
     
     
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    「与一の薔薇は、赤いんだな」
     与一に懐いたようで、手を繋いで歩きながらアキラが言った。
    「そうだね。アキラくんの薔薇は……」
    「黄色!」
     少しだけ嬉しそうに語尾が上がるのが自慢げで可愛らしい。
    「駆藤のは青い薔薇なんだな」
     前を歩く駆藤の手元を見ながらアキラが言った。
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    shinokoko

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    Aの肖像(続き) 小部屋から出て先ほどブーケを食べた唇があったところへと向かう。しかしそこにあの唇は無く、扉が鎮座しているだけだった。扉の向こう側にもまた同じものがあるのではと身構えながらドアを開いたが、くぐり抜けた先にあったのは一面灰色の部屋だった。かなり広いその部屋は仕切りで先が見えない。しかし先ほど動き出して彼らを襲ってきた女の絵画と同じ物が幾つも並んでいる。
     さすがに襲われた時の光景が記憶に新しく近寄り難い。ふたりは壁からなるべく離れるように進んでいった。壁に仕切られた区画の一面には新たな絵画が飾られている。絵の前面には新聞紙がばら撒かれ、傍らに鼻にランプを下げたゾウの像が置かれている。
    『ねぇ。そこ、どいてくださらない?』
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    shinokoko

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    Aの肖像 第二章



     暗い場所で目が覚める。足元の固い感触に床があることだけは確かだったが、周囲に光源が無いために部屋なのかどうかもわからない。
    『与一』
     不意に声が聞こえた。耳にした与一の背がぞわりと震えた。
    『与一』
     今度は背後から聞こえてきた声に瞬間的に走り出す。周囲が壁かもしれないがそんなことに構っている暇はない。考えるよりも先に足を動かす。
    『与一』
     ねっとりとまとわりつくような重い声が追いかけてくる。絡まりそうになる足を動かしていた与一の目の前に淡い光に照らされた通路が見える。考える余裕もなく与一はその通路へ飛び込んだ。
     光は少しずつ弱くなる。通路は長くトンネルのようになっているので不安がいやます。
    『どこへ行くんだい? 与一』
    1300

    shinokoko

    PROGRESSかの有名な元フリーホラーゲーム ibパロ二初の続き 其の二 です
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    諸々、なんでも許せる方向けです!
    Aの肖像 第一章(続き2) ふたりは当て所なく続く廊下を歩いていく。
     どこともしれない不可思議な場所ではあるが美術館であることだけは確かである。飾られた絵画や彫刻が動き、こちらをじっと眺めたりと不穏な動きをする以外は。
     薄暗い照明と最小限の装飾。人間は駆藤と与一だけだけのはずが、うるさいくらいに人の気配がする。
     美術館とは基本的に飾られた美術品に視線を向けるために通路や装飾に気を遣っている。人がいても気にならないことよう工夫されていることの多い印象であるが、この場所は人がふたり以外存在しないにも関わらず落ち着かない騒がしさだった。
     そんな中をふたりは周囲を警戒しながら並んで歩く。
     ドアを潜ってたどり着いたさきは、エントランスのようになっており、壁にそれぞれ男女の絵が飾ってあった。その絵の前には肘から先だけの手が、何かを求めるように指を開いた状態で床から突き出ていた。
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