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    shinokoko

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    shinokoko

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    かの有名な元フリーホラーゲーム ibパロ二初の続きです
    かけたところから追加しております!
    あんまり進んでなくてすみません……!!

     ⚠️注意⚠️
     “個性”無し世界(キャラの独自設定あり)
     年齢操作あり
     諸事情により、後々作中に既存キャラの名前(勝手に命名)が出てきます
     パロに合わせるためのゲーム内容改変

     諸々、なんでも許せる方向けです!

    #hrak(腐)
    #駆与
    #二初
    secondBeginning

    Aの肖像(第一章 続き) 壁にもたれてかかっている青年に駆け寄り、呼吸を確かめる。先ほどまでの苦しそうなそれとはうってかわり、落ち着いた息遣いになっていて与一は良かったと息をつく。
    「大丈夫ですか?」
     そっと肩に触れて揺らすと、青年は小さく呻き声を上げて閉じていた瞳を開いた。
    「くっ…… 痛…… くない?」
     訝しげに首を傾げ呟いた青年は傍らで心配そうに顔を覗き込んでいる与一の近さに僅かに体をのけ反らせる。
    「これ、君のものかな」
     与一が青い薔薇を差し出すと、青年は頷き薔薇を受け取る。与一の姿を値踏みするように視線を寄越した青年は一瞬だけ驚いた表情を浮かべ、今度は真っ直ぐに与一に視線を合わせる。
    「すまん。あの化け物から取り返してくれたんだな」
     あまり表情が動かない性質なのか、僅かに眉が下がったくらいではあるが、声から申し訳なさと感謝を感じた与一は首をブンブンと横に振った。
    「気にしないで。君が無事で良かった」
     ふにゃりと笑顔を見せる与一の手を青年が掴む。
    「どこか痛むか? 薔薇が少し萎れている」
     与一は驚いたように掴まれた手とその手が握ったままの自身の薔薇を眺め、そうだったと思い出した。
    「ちょっとだけだよ。僕の方は」
     ふふ、と肩を震わせると与一の白い髪が揺れる。煉瓦色の髪を持った青年は与一をじっと見つめたのち、思い切ったように口を開いた。
    「おまえ、美術館にいたよな」
    「え? うん。もしかして君もいたの?」
     確かに与一は美術館にいた。いたというか居座っていた。しかし、その間に彼を見た記憶があるかといわれれば曖昧だ。最も、彼どころかあの場にいた人々のどの顔も覚えていなかった。
    「ああ。まぁ、いたな」
    「ごめんね。僕、あまりあの時周りを見ていなかったから……」
     申し訳なさそうにそう弁明したが、青年の髪色にどことなく見覚えがある気がして首を傾げた。
    「そうだろうな。休憩室で酷い顔していたからな。おまえ」
     改めて青年を見て警備員の制服を着ていることに気づいた。それと同時に、ひとの目を避けて向かった休憩室で何度か警備員が巡回していたことを思い出す。
    「あれ、君だったのか。変なところ見られちゃったな」
     苦笑いを浮かべる与一だが、青年が美術館にいたとわかると、同じ不可解な出来事に巻き込まれたという親近感が湧いた。
    「なぁ。ここから脱出するまで、一緒に行動しないか?」
     青年が尋ねてくる。
    「いいの? 僕は助かるけど……」
    「ああ。協力した方が安全に脱出できるだろう」
     小首を傾げて答える与一に、青年が頷く。
    「そうだね。よろしくお願いするよ。僕は与一。…… 死柄木与一」
    「駆藤だ」
     青年—— 駆藤が差し出した右手に自身のそれを重ねる。彼の温かな手のひらに安心する。
    「それじゃあ、まずはおまえの薔薇を回復させるぞ」
     立ち上がった駆藤は与一の手を引いて立ち上がらせ、そう告げた。
     
     
     
     水の入った花瓶に薔薇を活けると、薔薇はみるみる水を吸い上げ輝きを取り戻していく。
    「すごいね。体の痛みも疲れも無くなってる」
     痛めた腕を眺めながら、与一が嘆息する。隣に立つ駆藤もその様子に安堵したようでわずかに瞳が和らいでいる。
    「死柄木が辛くなければ、移動しようと思う」
    「…… うん。大丈夫」
     青年—— 駆藤が辺りを見回して告げる。頷いた与一が微妙な顔をしていることに気づいたらしい駆藤が首を傾げる。
    「俺はなにか気に触ることでも言っただろうか」
    「え?」
    「さっき変な顔をしただろう。なにか変なことでも言ってしまったかと思ってな」
    「ごめんね。君のせいではないよ。その、名字で呼ばれるのがね。今、色々あって」
     眉を寄せて笑う与一の顔を眺めていた駆藤はしばらく考え、ふむ、と首肯した。
    「与一」
    「え?」
    「名字は嫌なんだろう? 名前なら良いかと思ったんだが……」
     与一の反応をみての提案だった。どうやら駆藤は無骨な見た目とは違い、相手のことを優先して考えるきらいがあるようだ。まだ出会ったばかりだというのに、彼の為人には好感しかない。
    「いや。嬉しいよ。名前で呼んで」
     ふふっと笑みをこぼした与一が答えると、駆藤は「そうか」とだけこぼして首の後ろを撫でた。
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    shinokoko

    PROGRESSかの有名な元フリーホラーゲーム ibパロ二初の続き です
    かけたところから追加しております!
    でも終わってないです💦 すみません

     ⚠️注意⚠️
     “個性”無し世界(キャラの独自設定あり)
     年齢操作あり
     諸事情により、後々作中に既存キャラの名前(勝手に命名)が出てきます
     パロに合わせるための原作ゲームの内容・キャラ設定改変

     諸々、なんでも許せる方向けです!
    Aの肖像(続き) 小部屋から出て先ほどブーケを食べた唇があったところへと向かう。しかしそこにあの唇は無く、扉が鎮座しているだけだった。扉の向こう側にもまた同じものがあるのではと身構えながらドアを開いたが、くぐり抜けた先にあったのは一面灰色の部屋だった。かなり広いその部屋は仕切りで先が見えない。しかし先ほど動き出して彼らを襲ってきた女の絵画と同じ物が幾つも並んでいる。
     さすがに襲われた時の光景が記憶に新しく近寄り難い。ふたりは壁からなるべく離れるように進んでいった。壁に仕切られた区画の一面には新たな絵画が飾られている。絵の前面には新聞紙がばら撒かれ、傍らに鼻にランプを下げたゾウの像が置かれている。
    『ねぇ。そこ、どいてくださらない?』
    6640

    shinokoko

    PROGRESSかの有名な元フリーホラーゲーム ibパロ二初の続き です
     かけたところから追加しております!
     でも終わってないです💦 すみません

     ⚠️注意⚠️
     “個性”無し世界(キャラの独自設定あり)
     年齢操作あり
     諸事情により、後々作中に既存キャラの名前(勝手に命名)が出てきます
     パロに合わせるための原作ゲームの内容・キャラ設定改変

     諸々、なんでも許せる方向けです!
    Aの肖像 第二章



     暗い場所で目が覚める。足元の固い感触に床があることだけは確かだったが、周囲に光源が無いために部屋なのかどうかもわからない。
    『与一』
     不意に声が聞こえた。耳にした与一の背がぞわりと震えた。
    『与一』
     今度は背後から聞こえてきた声に瞬間的に走り出す。周囲が壁かもしれないがそんなことに構っている暇はない。考えるよりも先に足を動かす。
    『与一』
     ねっとりとまとわりつくような重い声が追いかけてくる。絡まりそうになる足を動かしていた与一の目の前に淡い光に照らされた通路が見える。考える余裕もなく与一はその通路へ飛び込んだ。
     光は少しずつ弱くなる。通路は長くトンネルのようになっているので不安がいやます。
    『どこへ行くんだい? 与一』
    1300

    shinokoko

    PROGRESSかの有名な元フリーホラーゲーム ibパロ二初の続き 其の二 です
    かけたところから追加しております!
    でも終わってないです💦 すみません

     ⚠️注意⚠️
    “個性”無し世界(キャラの独自設定あり)
    年齢操作あり
    諸事情により、後々作中に既存キャラの名前(勝手に命名)が出てきます
    パロに合わせるための原作ゲームの内容・キャラ設定改変

    諸々、なんでも許せる方向けです!
    Aの肖像 第一章(続き2) ふたりは当て所なく続く廊下を歩いていく。
     どこともしれない不可思議な場所ではあるが美術館であることだけは確かである。飾られた絵画や彫刻が動き、こちらをじっと眺めたりと不穏な動きをする以外は。
     薄暗い照明と最小限の装飾。人間は駆藤と与一だけだけのはずが、うるさいくらいに人の気配がする。
     美術館とは基本的に飾られた美術品に視線を向けるために通路や装飾に気を遣っている。人がいても気にならないことよう工夫されていることの多い印象であるが、この場所は人がふたり以外存在しないにも関わらず落ち着かない騒がしさだった。
     そんな中をふたりは周囲を警戒しながら並んで歩く。
     ドアを潜ってたどり着いたさきは、エントランスのようになっており、壁にそれぞれ男女の絵が飾ってあった。その絵の前には肘から先だけの手が、何かを求めるように指を開いた状態で床から突き出ていた。
    3945

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    shinokoko

    PROGRESSかの有名な元フリーホラーゲーム ibパロ二初の続き 其の二 です
    かけたところから追加しております!
    でも終わってないです💦 すみません

     ⚠️注意⚠️
    “個性”無し世界(キャラの独自設定あり)
    年齢操作あり
    諸事情により、後々作中に既存キャラの名前(勝手に命名)が出てきます
    パロに合わせるための原作ゲームの内容・キャラ設定改変

    諸々、なんでも許せる方向けです!
    Aの肖像 第一章(続き2) ふたりは当て所なく続く廊下を歩いていく。
     どこともしれない不可思議な場所ではあるが美術館であることだけは確かである。飾られた絵画や彫刻が動き、こちらをじっと眺めたりと不穏な動きをする以外は。
     薄暗い照明と最小限の装飾。人間は駆藤と与一だけだけのはずが、うるさいくらいに人の気配がする。
     美術館とは基本的に飾られた美術品に視線を向けるために通路や装飾に気を遣っている。人がいても気にならないことよう工夫されていることの多い印象であるが、この場所は人がふたり以外存在しないにも関わらず落ち着かない騒がしさだった。
     そんな中をふたりは周囲を警戒しながら並んで歩く。
     ドアを潜ってたどり着いたさきは、エントランスのようになっており、壁にそれぞれ男女の絵が飾ってあった。その絵の前には肘から先だけの手が、何かを求めるように指を開いた状態で床から突き出ていた。
    3945

    shinokoko

    PROGRESSかの有名な元フリーホラーゲーム ibパロ二初の続き です
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     “個性”無し世界(キャラの独自設定あり)
     年齢操作あり
     諸事情により、後々作中に既存キャラの名前(勝手に命名)が出てきます
     パロに合わせるための原作ゲームの内容・キャラ設定改変

     諸々、なんでも許せる方向けです!
    Aの肖像 第二章



     暗い場所で目が覚める。足元の固い感触に床があることだけは確かだったが、周囲に光源が無いために部屋なのかどうかもわからない。
    『与一』
     不意に声が聞こえた。耳にした与一の背がぞわりと震えた。
    『与一』
     今度は背後から聞こえてきた声に瞬間的に走り出す。周囲が壁かもしれないがそんなことに構っている暇はない。考えるよりも先に足を動かす。
    『与一』
     ねっとりとまとわりつくような重い声が追いかけてくる。絡まりそうになる足を動かしていた与一の目の前に淡い光に照らされた通路が見える。考える余裕もなく与一はその通路へ飛び込んだ。
     光は少しずつ弱くなる。通路は長くトンネルのようになっているので不安がいやます。
    『どこへ行くんだい? 与一』
    1300

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    gohan_oic_chan

    PAST行マリ
    卒業後同棲設定
    なんか色々最悪です
    証明 朝日を浴びた埃がチカチカと光りながら喜ぶように宙に舞うさまを、彼はじっと見つめていた。朝、目が覚めてから暫くの間、掛け布団の端を掴み、抱きしめるような体勢のまま動かずに、アラームが鳴り始めるのを待っていた。
     ティリリリ、ティリリリ、と弱弱しい音と共に、スマートホンが振動し始める。ゆっくりと手だけを布団の中から伸ばし、アラームを止める。何度か吸って吐いてを繰り返してから、俄かに体を起こす。よしっ、と勢いをつけて発した声は掠れており、埃の隙間を縫うように霧散していった。
     廊下に出る。シンクの中に溜まった食器の中、割りばしや冷凍食品も入り混じっているのを見つけると、つまみあげ、近くに落ちていたビニール袋に入れていく。それからトースターの中で黒くなったまま放置されていた食パンを、軽く手を洗ってから取り出して、直接口に咥えた。リビングに入ると、ウォーターサーバーが三台と、開いた形跡のない数社分の新聞紙、それから積み上げられたままの洗濯物に囲まれたまま、電気もつけずに彼女はペンを走らせていた。小さく折り曲げられた背が、猫を思わせるしなやかな曲線を描いていた。
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