僥倖に預かるの続編「…なんで、仙蔵が乱太郎を見つけてるのさぁ…。」
僕が一番最初に見つけたと思ってたのに…。としょんぼりしているのは、前世で乱太郎の所属していた保健委員会の委員長であり、乱太郎と同じく不運を携え、周りからは不運大魔王と呼ばれていた善法寺伊作だ。
乱太郎のことを前世でもどの先輩よりも一番可愛がってくれていた彼は、乱太郎の家の隣に住んでいて、お兄さんポジを獲得していたらしい。
立ち話もなんだから僕の部屋で詳しい話を聞かせて欲しい!ね!来るよね!と肩を掴まれてしまった仙蔵と乱太郎は、あれよこれよと伊作の家へと案内されて事の顛末を話した。
記憶を思い出したのは誕生日を迎えた昨日だったことと、今世の両親は前世の両親と同じだったが、記憶を持っていなかったこと。だから、もし、自分たちのように出くわしたとして、自分だけが前世のことを覚えていて相手が覚えていなかった時。きっと、どうすればいいか分からないし、絶望してしまうかもしれないと思ったこと。そんな絶望なんかしたくないから、記憶が無いフリをして殻に閉じこもったこと。
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