「いつか」をそろそろ今にして乱太郎には、五つ上の恋人がいる。その人物とは、最高学年である六年生で乱太郎と同じ保健委員会に所属している六年は組の善法寺伊作だ。不運大魔王として度々不運が重なり、二人で出かけている時も帰りに猪に追いかけられたり、小銭落としたりという不運があったりするけれどそんな不運でもふたりで出かけることが楽しくて、嬉しいし、いつでも伊作は乱太郎に優しくて、甘ったるい声で自分の名前を呼んでくれて、好きだよとか、大好きだよ。という気持ちをいつでも伝えてくれるものだから、乱太郎には申し分ないほどいい恋人だと思っている。だけど、そんな申し分ないほど良い恋人だと思っている伊作に、ひとつ、乱太郎はある不満を抱えていた。
その不満というのは、伊作が乱太郎に口吸いをしてくれないということだけだ。好きだよ、大好きだよといつもありったけの愛を乱太郎に運んでくれて、愛おしそうに見つめて抱きしめてくれるのに乱太郎が目を閉じて口吸いをされるのを待っていても、そういうのは乱太郎が大人になってからだとか、今はこれで我慢してね。と頬や額にチュッと音を立てられて違うところに口吸いをされるのだ。
乱太郎には伊作が自分のことをいっとう大事にしてくれていることはわかっているし、