5.うたた寝(加筆済)通霊で「会いたい」と告げられ浮き足だって南陽殿へ向かう慕情ちゃん
いざ向かうと風信さんは机上に突っ伏してうたた寝をしている
「お前から会いたいと言ったのに何だこの様は」と言いつつも風信さんに羽織をかける慕情ちゃん
向かい側に立って風信さんの寝顔を見つめる
「お前はいつも眉間に皺が寄ってるな。居眠りでもそうなのか」
と笑う慕情ちゃんが皺を伸ばしてやるかと手を伸ばした瞬間に風信さんのほうから腕を掴まれて息を呑む
「額に口づけのひとつでもくれたら可愛げがあったんだがな」と風信さんが笑うので睨みつけて「私に期待するな」と威嚇する
「冗談だ」と笑う風信さんの手首を掴んで引いた
ちゅ、と軽くその額に口づけを落として「これで満足か?」と問う慕情ちゃん
風信さんは不意打ちで言葉が出ない
「私は帰る」と照れ隠しさながらに立ち去ろうとする慕情ちゃんの裾を引いて引き留めた風信さん
その耳元で「……まだ足りない」とこぼす
耳まで真っ赤になっていく慕情ちゃん
「……好きにしろ」慕情ちゃんがそれだけ告げると
するりと首元のそれを外して露わになった項に口づけを落としていく風信さん
慕情ちゃんは声を抑えようとするけれど抗えない 腰が砕けそうになっている慕情ちゃんを支えながら「今はこれくらいにしてやる」と囁く風信さん
「……会いたいというのは、そういった意味ではなかったのか」と少し不満そうに小さくこぼす慕情ちゃん
「っ〜〜!お前な……!」
振り向いた慕情ちゃんの上目遣いな瞳に浮かぶ欲情を知る
「どうなっても知らないからな!」
と慕情ちゃんを抱える風信さん
すりすり、と猫のように胸元に額を寄せる慕情ちゃんに悶える風信さん
「はやくしろ」
と慕情ちゃんに急かされて、ああもう!と腹をくくる風信さん
「お前が煽ったんだからな」
と慕情ちゃんの耳元でいつもより低い声で響かせる風信さんに、どきどきが止まらない、慕情ちゃん
完