【ヴェラン】甘い約束 午前零時。日付を跨ぐ前に帰宅したかったけど、大通りでいきつけのレストランのおじちゃんに掴まって、無理だった。
色々夜食を持たせてくれたから、滅茶苦茶ありがたいけど!
恋人のランちゃんと愛猫のムートが待つ家に、俺はいつでも、一刻も早く帰りたいからな~。
駆け足で帰宅すると、ムートが軽い足取りで玄関へ出迎えに来てくれた。ピンと伸ばした尻尾をぷるぷる細かく震わせて、熱烈歓迎してくれる。
「わはは! ただいまー、ムート! いい子にしてたか? って、いつも仕事熱心でいい子かー!」
「ニャー」
玄関でしゃがみ込み、両手でムートの頬を撫でくりまわした。気持ちよさそうに目を細め、喉をゴロゴロ鳴らしている。
城内パトロールがムートに与えられた仕事だ。特に書庫は熱心に。
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