栗を踏むでかい欠伸をするのと同時に、後ろで蝶番の錆びた鉄扉が開く音がした。うるさいなあ、と思って振り返ると、隣のクラスの秀才くんが入ってくるところだった。あいつ、知ってる。名前は確か。
「ハン・ジュウォン、あんたも屋上なんか来るんだなあ」
そいつは、ものすごく嫌そうに顔をしかめてドンシクを見返した。
「…馴れなれしく話しかけないでくれる?僕は君を知らない」
「おう、そりゃ失礼しました」
ドンシクが肩をすくめて見せると、ジュウォンはフンと鼻を鳴らして離れた柵の方へ行ってしまった。その定規が入っているみたいにぴんと伸びた背筋を、毬栗みたいだなあと思う。あんなのでも、顔立ちがきれいだから女にはモテるのだ。勝ち組ってのは、何から何まで初めから持っている。羨ましい限りだ。
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