ぶるたす
INFO2/24 ムのサンプルです。『ひとのふんどし』
jwds/A5判/80p/R18🔞
800円
絵柄パロ&ギャグ漫画と、真面目に描いた漫画が混ざっております。
大体50pくらい再録、30pくらい描き下ろしと言った感じです。 6
MASAKI_N
DONE怪物jwdsジュウォンの誕生日Pairing(s)「誕生日おめでとう。よく生きました」
目覚めてすぐそう言ったら、ジュウォンは珍しく素直に笑顔を見せ、ドンシクを抱きしめた。「お腹が空いた」と言うまでそのままで、また寝てしまったのかと思った。
ドンシクがジュウォンの誕生日を祝うのは、今日で二度目だ。
出会ってからは四年目になるのか。
一度目は、二人の仲を進展させるつもりで部屋に呼ばれたと思ったのに、煮えきらないジュウォンにドンシクが痺れを切らして、半ば強引に迫ってしまった。そうでもしないと距離が縮まらないと思ったからだ。
捜査の時はあんなに強引に喰らいついてきたのに、ジュウォンはドンシクに遠慮していた。その壁を壊して、どうにか結ばれた二人の記念日。
11177目覚めてすぐそう言ったら、ジュウォンは珍しく素直に笑顔を見せ、ドンシクを抱きしめた。「お腹が空いた」と言うまでそのままで、また寝てしまったのかと思った。
ドンシクがジュウォンの誕生日を祝うのは、今日で二度目だ。
出会ってからは四年目になるのか。
一度目は、二人の仲を進展させるつもりで部屋に呼ばれたと思ったのに、煮えきらないジュウォンにドンシクが痺れを切らして、半ば強引に迫ってしまった。そうでもしないと距離が縮まらないと思ったからだ。
捜査の時はあんなに強引に喰らいついてきたのに、ジュウォンはドンシクに遠慮していた。その壁を壊して、どうにか結ばれた二人の記念日。
nigiyakashi3
DONE※クソ暑いのでjwdsにスーツを着せました。※おじさんの本気を浴びましょう。
祝福の日「すんげぇ良い店に行きましょう」
休前日、彼が突然そんなことを言い出した。よくよく話を聞いてみると、どうやらジュウォンが父と利用していたような高級店という意味らしかったので、少し調べて(彼は言い出しっぺのくせにジュウォンのスマートフォンを覗き込んであれこれ口を出しただけだった)予約して、翌日の夜に行くことになった。
久しぶりに袖を通すオーダーメイドのスーツ姿をもう一度鏡で確認して、ジュウォンはおかしなところがないかチェックする。急遽予約をした店だが、わりとちゃんとしたところのようだったので、粗相がないよう入念に準備した。
そろそろ出発の時刻かとリビングへ降りて行ってみると、見たことのないスーツを着て見たことのない髪型になった彼が、いつも通りソファに座って新聞を広げていた。ジュウォンが戸口に佇んでいるのに気づくと、おおー、と感心したような顔をした。
6481休前日、彼が突然そんなことを言い出した。よくよく話を聞いてみると、どうやらジュウォンが父と利用していたような高級店という意味らしかったので、少し調べて(彼は言い出しっぺのくせにジュウォンのスマートフォンを覗き込んであれこれ口を出しただけだった)予約して、翌日の夜に行くことになった。
久しぶりに袖を通すオーダーメイドのスーツ姿をもう一度鏡で確認して、ジュウォンはおかしなところがないかチェックする。急遽予約をした店だが、わりとちゃんとしたところのようだったので、粗相がないよう入念に準備した。
そろそろ出発の時刻かとリビングへ降りて行ってみると、見たことのないスーツを着て見たことのない髪型になった彼が、いつも通りソファに座って新聞を広げていた。ジュウォンが戸口に佇んでいるのに気づくと、おおー、と感心したような顔をした。
MASAKI_N
DONE怪物jwds⑬普通「それって、結局ドンシクも所長と同じことしたがってるってことじゃない?」
ジファに実家をリノベーションすることを伝え、ジュウォンに手伝ってもらうのだと説明したら、腕を組んで熟考した後、そう疑問を投げかけられた。
「あー……そうなるのか」
定年後はきれいな空気の場所で過ごすと言って、ドンシクと自分のための家を買った男。
親代わりのような、師弟関係のようなまま、ドンシクを見守ってくれていた。
ドンシクを犯人だと疑い、連行したのを悔いていたのはわかる。ドンシクも恨みが全く無いわけではないし、ナム所長が自分を監視するために面倒を見てくれているような気にもならなくはなかった。それを他人から指摘されることもあったが、二人の関係を変えようとは思わなかった。
2099ジファに実家をリノベーションすることを伝え、ジュウォンに手伝ってもらうのだと説明したら、腕を組んで熟考した後、そう疑問を投げかけられた。
「あー……そうなるのか」
定年後はきれいな空気の場所で過ごすと言って、ドンシクと自分のための家を買った男。
親代わりのような、師弟関係のようなまま、ドンシクを見守ってくれていた。
ドンシクを犯人だと疑い、連行したのを悔いていたのはわかる。ドンシクも恨みが全く無いわけではないし、ナム所長が自分を監視するために面倒を見てくれているような気にもならなくはなかった。それを他人から指摘されることもあったが、二人の関係を変えようとは思わなかった。
MASAKI_N
DONE怪物jwds⑫理解者 生家にいる時のドンシクは、年相応に老け始めた男に見える。
悪い意味では無い。かっこいい男だなと思う。渋さや頼りがいのようなものが強まるとでも言おうか。低い声でぼそぼそと話し、不精髭で煙草を吸い、薄暗く冷えきった地下室のソファで寝苦しそうにしているのが様になっていた。
事件が解決してからは自室を少しだけ片付けて、自分のベッドで眠っているようだ。敵視して押しかけていた頃は、まだ時が止まったままの持ち物と、そうでないものが同居していた。
執行猶予期間だった二年間は、長いようで短い。
地下室にあった不用品、父親の部屋の物、ドンシクの部屋の要らない物を少しずつ移動し処分したようで、寄る度にその比率は変わっている。ジュウォンは一人ではユヨンの部屋にどうしても入れなくて、ドンシクに「ユヨン、この人が真犯人を捕まえてくれたぞ」と背中を押され、やっと足を踏み入れた。
4674悪い意味では無い。かっこいい男だなと思う。渋さや頼りがいのようなものが強まるとでも言おうか。低い声でぼそぼそと話し、不精髭で煙草を吸い、薄暗く冷えきった地下室のソファで寝苦しそうにしているのが様になっていた。
事件が解決してからは自室を少しだけ片付けて、自分のベッドで眠っているようだ。敵視して押しかけていた頃は、まだ時が止まったままの持ち物と、そうでないものが同居していた。
執行猶予期間だった二年間は、長いようで短い。
地下室にあった不用品、父親の部屋の物、ドンシクの部屋の要らない物を少しずつ移動し処分したようで、寄る度にその比率は変わっている。ジュウォンは一人ではユヨンの部屋にどうしても入れなくて、ドンシクに「ユヨン、この人が真犯人を捕まえてくれたぞ」と背中を押され、やっと足を踏み入れた。
MASAKI_N
DONE怪物jwds⑧Beyond the rainbow「あ」
結局プレイリストの曲を何曲か流したところでまた胸がいっぱいになり、最後まで聴けずに帰宅した。ビデオ通話の録画データを隔離して保存すべきかと操作する。
二人とも眠ってしまってからの動きの少ない部分は削除したが、起床したドンシクの着替えが映っている可能性に気付き、ジュウォンは戸惑いつつも、そっとデータを確かめる。
確かめずに消すべきだと、本当は知っている。思春期の青少年か。と自分にツッコミを入れたものの、それ以外のなにものでもない。
ドンシクは目覚めてすぐ端末をチェックしていたから、繋がったままなのは気付いていただろう。録画に気付いていなくても、起きてすぐ見えるなら同じだ。でもそれなら、見てはいけないものではないことになる。
1579結局プレイリストの曲を何曲か流したところでまた胸がいっぱいになり、最後まで聴けずに帰宅した。ビデオ通話の録画データを隔離して保存すべきかと操作する。
二人とも眠ってしまってからの動きの少ない部分は削除したが、起床したドンシクの着替えが映っている可能性に気付き、ジュウォンは戸惑いつつも、そっとデータを確かめる。
確かめずに消すべきだと、本当は知っている。思春期の青少年か。と自分にツッコミを入れたものの、それ以外のなにものでもない。
ドンシクは目覚めてすぐ端末をチェックしていたから、繋がったままなのは気付いていただろう。録画に気付いていなくても、起きてすぐ見えるなら同じだ。でもそれなら、見てはいけないものではないことになる。
MASAKI_N
DONE怪物jwds⑦薄暮まで「ヤー、来たね。お疲れ様。ハン・ジュウォン警部補」
「お待たせしました。イ・ドンシクさん」
海浜公園と併設されたホテルの駐車場で落ち合って、眺めのいい場所にいたドンシクに声を掛けた。
「良かった。昨日の夜より元気そう」
「あなたは――」
長い髪は思ったよりずっと儚げに見えて、薄曇りの空に紛れて消えてしまいそうだ。
呪いは解け、敵は去っても、後悔と悲しみはまだ胸にある。
それでも、新しく芽生えた希望と、やっとドンシク自身のものになった人生。
「初めからこういう風に会えば良かったね。そしたらあなた、もっとよく眠れたのに」
昨晩の通話は楽しかった。外もいいが、自分の部屋にいる方がいい。
「ホテルに泊まるんですか?」
2866「お待たせしました。イ・ドンシクさん」
海浜公園と併設されたホテルの駐車場で落ち合って、眺めのいい場所にいたドンシクに声を掛けた。
「良かった。昨日の夜より元気そう」
「あなたは――」
長い髪は思ったよりずっと儚げに見えて、薄曇りの空に紛れて消えてしまいそうだ。
呪いは解け、敵は去っても、後悔と悲しみはまだ胸にある。
それでも、新しく芽生えた希望と、やっとドンシク自身のものになった人生。
「初めからこういう風に会えば良かったね。そしたらあなた、もっとよく眠れたのに」
昨晩の通話は楽しかった。外もいいが、自分の部屋にいる方がいい。
「ホテルに泊まるんですか?」
MASAKI_N
DONE怪物 jwds小話回想シーンのジュウォンが連れているぬいぐるみの話です。
Dormiglione 目覚めるまでの数秒、不思議な感覚を味わう。誰かと手を繋ぐことなんて、道に迷った誰かの手を職務上、仕方なく引く時ぐらい。十数年振りだろう。
イ・ドンシクに出会うずっと前。最後に望んで手を繋いだのは、誰だっただろうか。僕は――
「ジュウォナ」
ようやく慣れてきた、隣にドンシクのいる朝。
「……ぁあ、おはようございます」
ドンシクは寝姿勢に合わせた流線型の抱き枕に、右足を乗せるようにして眠るのが常だ。誕生日プレゼントのおまけでジュウォンが用意したものを、どうやら気に入ってくれているようだった。
足腰の負担を軽減できるし、パーソナルスペースが広いジュウォンとも、寝ている間にお互いのスペースを狭めにくい。何より、枕に抱きついて眠る様子をかわいいと思っていることは、ドンシクには内緒だ。
5835イ・ドンシクに出会うずっと前。最後に望んで手を繋いだのは、誰だっただろうか。僕は――
「ジュウォナ」
ようやく慣れてきた、隣にドンシクのいる朝。
「……ぁあ、おはようございます」
ドンシクは寝姿勢に合わせた流線型の抱き枕に、右足を乗せるようにして眠るのが常だ。誕生日プレゼントのおまけでジュウォンが用意したものを、どうやら気に入ってくれているようだった。
足腰の負担を軽減できるし、パーソナルスペースが広いジュウォンとも、寝ている間にお互いのスペースを狭めにくい。何より、枕に抱きついて眠る様子をかわいいと思っていることは、ドンシクには内緒だ。
nigiyakashi3
DONEjwdsが同級生だったら?と考えてみたけど、やっぱり初めはギスギスして全然仲良くなれなそうで笑っちゃった。栗を踏むでかい欠伸をするのと同時に、後ろで蝶番の錆びた鉄扉が開く音がした。うるさいなあ、と思って振り返ると、隣のクラスの秀才くんが入ってくるところだった。あいつ、知ってる。名前は確か。
「ハン・ジュウォン、あんたも屋上なんか来るんだなあ」
そいつは、ものすごく嫌そうに顔をしかめてドンシクを見返した。
「…馴れなれしく話しかけないでくれる?僕は君を知らない」
「おう、そりゃ失礼しました」
ドンシクが肩をすくめて見せると、ジュウォンはフンと鼻を鳴らして離れた柵の方へ行ってしまった。その定規が入っているみたいにぴんと伸びた背筋を、毬栗みたいだなあと思う。あんなのでも、顔立ちがきれいだから女にはモテるのだ。勝ち組ってのは、何から何まで初めから持っている。羨ましい限りだ。
5522「ハン・ジュウォン、あんたも屋上なんか来るんだなあ」
そいつは、ものすごく嫌そうに顔をしかめてドンシクを見返した。
「…馴れなれしく話しかけないでくれる?僕は君を知らない」
「おう、そりゃ失礼しました」
ドンシクが肩をすくめて見せると、ジュウォンはフンと鼻を鳴らして離れた柵の方へ行ってしまった。その定規が入っているみたいにぴんと伸びた背筋を、毬栗みたいだなあと思う。あんなのでも、顔立ちがきれいだから女にはモテるのだ。勝ち組ってのは、何から何まで初めから持っている。羨ましい限りだ。