俺の憧れの人、正確に言うのであれば好きな人——は、おそらくモテる。いや、現在進行形でモテている。区長たちのアシストのために、観光する人々の前に姿を出すこともある。曲者揃いだが端正な顔立ちの区長たちに負けず劣らず、いやそれよりもかもしれないけれど、観光客に黄色い声を上げられている。柔らかな物腰、優しい声音、なにより可愛らしいその顔立ち。彼への人気が出ないはずがないのだ。しかし、本人はまったく気付いていない。近くにいる区長への声援だと思っているようだ。
以前、HAMAハウスで大人たちが飲み会をしていて、珍しく主任——楓さんも参加して飲んでいた。少しだけ足元をふらつかせながら、表情を蕩けさせてご機嫌に笑う彼があまりにも愛らしくて、鼻血を噴き出しそうになったことは記憶に新しい。楓さんの介助をしながら、本当に何気なく質問してみた。
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