とある六月の日曜日の話 若い頃は休みなくがむしゃらに働いていたこともあったけれど、今はもう、平日は働いて、土日はしっかり休む生活を心に決めている。致し方ない日もたまにはあるけれど、なるべく残業も休日出勤もしない。自分一人だけの生活ならどうでもいい。けれど今は家族がいるのだ。何よりも大切で、守りたい大事な家族が。二人のためなら何でもするし、なるべく良い夫でいたいし、良い父親にもなりたいと思っている。愛する二人のためなら、なんだって。──…。
「今日は、おとうさんとおふろ入りません」
「え?」
「おかあさんと入ります」
「え…」
水色の靴下を履いた小さな足がぽてぽてと離れて、母親のエプロンの裾をぎゅっと掴んだ。洗い物をしていた黒子は、あらら。と気の抜けた声を出す。
3014