アルと抱き合って眠るのが好き。後ろからぎゅっとされながら眠るのも。なんだろう。抱きしめられてる安心感が落ち着くのかな。でも、隣り合って寝るときもあるし、いつも引っ付いて寝てるわけじゃない。背中合わせで眠るのは、ちょっと苦手かもしれない。離れてるわけじゃないのに、アルの手がないのが嫌なのかも。今日、丁度背中合わせなんだけど、やっぱり物足りない。たまには私が抱きしめるかたちでもいいんじゃない?ということで、アルの背中にぎゅっとくっ付いてみたら、アルが飛び起きた。もう寝てると思ったんだけどな。
「ななななな、なにしてるんですか!?当たってますけど、誘ってるんですか!?」
当たってるって何。胸のこと?散々人の裸見ておいて、何でそんなに初心な反応するの。
「誘ってないし。でも、寂しいから構ってほしい」
え、アル大丈夫かな。なんか手で顔覆ってぶつぶつ言ってるけど。
「アル、大丈夫?具合悪い?」
「いえ、なんでもありません。ちょっと煩悩を追い払っていただけです。それで、構ってほしいというのはどういう?」
「こっち向いて、それで寝てほしい。ダメ?」
「んんんっ」
今度は枕に突っ伏しちゃったけど、本当に大丈夫?
「申し訳ありません。追い払った煩悩がまた……。もう大丈夫ですので」
三回深呼吸したアルが隣に寝転んで、どうぞ、と私を手招く。では、遠慮なく。背中に触れた、少し緊張気味なアルの手を堪能する。温かい。やっぱこれだな。満足だ。すぐ眠れそう。「僕は眠れそうにないんですが」というアルの声が聞こえた気がしたけれど、私はもうすぐ夢の中だから、なんとかひとりで頑張ってほしい。アルならできるって信じてるから。晴れやかな顔でおはようって言おうね、アルバート。