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    a3m_ryu8

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    a3m_ryu8

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    コノノイ♀が浴衣デートしようとして鼻緒をすげる話

    浴衣でお祭りに行こうとするコノノイ♀「思った通り似合うね」
    「おほめ頂き光栄です」
    慣れない衣服を褒められただけではない照れにノイマンは頬を朱に染める。
    「お祭りだなんて何年ぶりだろうか?」
    伸ばされた手をとれず横に並ぶ恥ずかしがりやな恋人にコノエは薄く笑い、所在のなくなった手を正面で組むことにした。隣を歩く少しだけ目線の低い彼女が楽しそうにしているのを眺めれば、襟元に伸ばされた手が恥ずかしそうに何度も袷を引き寄せていて、慣れない衣服をそれなりに喜んでいてくれているだろうと察せられ、満足感が胸の中を広がる。

    補修寄港に伴う休暇のタイミングで夏祭りが開かれることを知り、つい欲が出た。
    ノイマンに似合いうだろうと、木綿でできた、漂白された白地に赤い金魚が青の縦に入ったラインの間を泳ぐ浴衣に、赤い兵児帯を贈りながら、コノエは我ながら子供っぽいなどと思いながら祭りへと誘った。
    「これを着て夏祭りに行かないか?」
    茶目っ気を強く、重くならないようにと誘ったが、ノイマンは少し困ったように唇を尖らせ視線を逸らして答える。
    「アレクセイさんも浴衣着てくれますか……?」
    言い終わってから耳を赤く染めて、逸らした視線を慌ててコノエに合わせて早口で捲し立てる。
    「気にしないでください!!一人だけ着るのはちょっと恥ずかしいなとか、あなたの浴衣姿見てみたいなとかそういうのではないです!!」
    何の言い訳にもなっていない言い訳を矢継ぎ早に浴びせ掛けるノイマンに、微笑ましさから頬が緩む。しっかりと目を合わせれば一瞬ノイマンの言葉が途切れる。
    「では浴衣デートと洒落込もうか」
    いたずらっぽく笑えば、可愛い我が儘が通った恋人は顔を真っ赤にして困った顔をして頷いた。

    「下駄だけは自分で選んだ方がいい」
    履物は個人に合わせた方がいいと言われ、素直にノイマンは兵児帯と同じ赤色の鼻緒の下駄を手に入れていた。正確に言えば、下駄だけは昔買っていたのだ。オーブに馴染もうと、なんとなく買っただけでほぼ履かれることのなかった下駄。あまり物の入っていない靴箱の中から引っ張り出して一度足に合わせた。何となくの違和感は拭えないが、これにコノエから貰った浴衣を合わせるのだと思えば少し心は期待に跳ねる。
    自分が浴衣を着用することに興味はないが、コノエがどのような物を着るのかは気になる。予定が合うのならば本当は一緒に見に行きたかったが、さすがにそこまでお互い暇ではない。今日の祭りの休みとて、どうにか必死に合わせたようなものだ。
    (むしろ、よく祭りの日に休みを合わせることができたな……周りの人にかけた迷惑のが心配かもしれない)
    そう、ノイマンは笑うが、お祭りに行きたい筆頭ともいえるシンとルナマリアも今日は休みだ。何日かにわたって開催されるからと、代わる代わるどうにか休みをとることにしたとはいえ、今までの勤務ローテーションによるところも大きいと、無茶を利かせてくれたラミアス大佐には感謝だと思いつつも、彼女は彼女でフラガ大佐とお祭りに行きたかったのだし、と二人の勤務予定を思い出して小さく笑った。
    ちゃんと着付けができるのかと少し不安だが、コノエに頼むのもなんだか違う気がして、自分で着て行くと言ってしまったのだ。少しの後悔はあるが、どうせならばちゃんと着付けた状態をはじめに見せたいと欲が出たのだ。
    (どれだけ下手でも「可愛い」とか言いそうだよな……)
    ふふ、と頬を緩めてシャワー室へと入った。

    「思ったとおり似合うね」
    「お褒め頂き光栄です」
    そう褒めるコノエの装いは暗い鶯色に白で細い縦縞の入った麻の浴衣に、生成りの角帯だった。
    (似合ってるのはどっちだよ……!!)
    素直に口に出せずに押し黙るノイマンを、恥ずかしがっているものだと判断し、コノエは手を伸ばす。しかし、褒められたことに対する照れだけでない照れに戸惑っているノイマンは素直にその手を取ることができない。それでも隣を歩きたいと、いつもよりも小さく固定された歩幅で早足になる。そんな姿を微笑ましく見つめるコノエの視線を意図的に無視する。いつもと違う姿に心臓が早鐘を打つ。そんな自身の変化をどうにか抑えたくてノイマンは必死だった。
    そんなノイマンの胸中などコノエは知るはずもない。とはいえ、歳の割に初心な恋人の百面相は見ていて楽しい。それに、言った通り贈った浴衣がよく似合っていた。
    普段着用している青いコンパスの軍服もよく似合っているが、清廉な白が似合うだろうと、見かけた時に思ったのだ。赤い金魚も彼女のようで、できるはずの無い自身の水槽の中に囲い込みたい欲が出た。その欲は彼女に見せるわけにいかないが、せめて自身の手で選んだものに包まれる姿を見てみたいと、気がつけば購入していたのだから年甲斐もなく浮かれていることに苦笑したものだ。
    だからこそ、贈った時に自身にも浴衣を着て欲しいと言われた時には驚きこそすれ、彼女も浮かれてくれていると喜んだ。とはいえ、男性物はいい感じのものを見つけるのに苦労したのは内緒だ。
    着慣れない浴衣の袷をはだけないように何度も引き寄せる仕草にすら愛しさが広がる。そんなコノエの視線についに耐えられなくなったノイマンは上目遣いになる形で睨みつける。頬を染めた状態ではただの戯れでしかない。拗ねたように尖らせた唇を薄く彩る赤い色に気がつけば、そこから目が逸らせない。
    「なんですか?」
    「いや……その口紅は自分でかい?」
    「あなた以外に俺にそんなものを贈ろうとする人いませんって」
    これまでも何度も確認された独占欲に、嬉しさと気恥ずかしさとでいっそ面白くなってしまい思わず笑い出す。つられてコノエも苦笑するが、自分の行動が笑われてると思えばきまりが悪い。
    「何度も言っているけど、君は魅力的な人だからね。こんな年嵩には心配なんだよ」
    「だから俺よりもアレクセイさんのが魅力的なんですってば。俺のが心配してるんですよ?」
    そう言いながらコノエの方を向いた顔を見れば、笑う頬に朱がさしている。一挙一動で大げさともいえるほどの反応を返す素直さに、思わず頬が緩む。
    「笑わないでください!俺は本気なんですから」
    せっかくの笑顔であったのにとは思えど、不満げに頬を軽く膨らませる子供っぽい行動に、普段とは全く違うそのギャップが魅力をより際立たせているのだと、コノエの口角はさらに上がった。
    「俺だってもういい年なんですからね……」
    これ以上は主導権を握られると察したノイマンは正面を向き直しブツブツと文句を言う。そんな様すらかわいいな、と素直に文句を聞き流し少しだけ上の視点からコノエは愛しいと見つめる。
    ふと、光に照らされた肩口が透けているのに気付いてしまった。
    薄っすらと透ける、下着の形。浴衣で着用するようなものではないであろう、フリルやリボンが多く付いていることのわかるそれは、明らかに以前コノエが贈ったものだった。
    (誰にも見せたくないな……)
    どちらも自分が贈ったものである以上、コノエの口から「帰ろう」などとはとても言い出せない。しかし、恋人の下着が透けている状況を許容できるタイプでもない。そもそも、浴衣姿を見たいという欲のためにお祭りを口実にしたが、できることならば浴衣姿すら他者の目には晒したくなどないのだ。
    しかし、一人で悩むコノエのことなどノイマンは知るはずがない。お祭りで何をしようか何を食べようかと楽しげに話しながら、コノエのほんの少しだけ先を歩く。はじめのうちはおずおずと小さな歩幅で歩いていたのを、裾が蹴り広がるのを忘れ段々と歩幅が広がっていた。
    その姿にもコノエは頭を抱える。
    男所帯の軍で家名などもなき身で順調に昇進したノイマンだ。その平時の所作は大分男の粗雑さに順応している。それでも恋人としての態度はとても乙女なものがあるが、気を抜くとやはり慣れた態度が出てきてしまうのは仕方のないことなのだろう。それをわかっていても、裾から覗く白く引き締まった脚に目を引かれるのはきっと自分だけではないだろう。今は周囲に誰もいないことが幸いだった。
    「えっ?!」
    突然、ノイマンは驚きの声を上げると、その場に立ち止まる。
    「どうした?」
    「すみません。なんか、下駄が……」
    そういって視線を下にやれば、そこには下駄が落ちていた。どうすればいいかわからない素足は下駄の踵のあたりに所在なさげに置かれていた。
    「鼻緒が切れたのか……」
    「すみません……やっぱり新しいのを買えばよかったです……」
    「気にしなくていい。よくあることだ」
    そうは言われてもせっかくの機会に自分のせいでコノエの手を煩わせることになったことにノイマンは恐縮し、仕事ではまず見せることのない、悔しさでの涙すら滲ませる。
    「僕がおぶろうか?」
    「そんなわけにはっ!!」
    悪戯っぽく問いかけるコノエにかぶせるように慌てて拒否をする。歩けないほどの怪我をしてしまったのならば仕方がないが、今回はそうではない。最悪、両方とも脱いで裸足で歩けばいいのだ。
    そんなことを考えているのを察したのかコノエは苦笑してノイマンの左前に膝をついてかがむ。
    「アレクセイさん?!」
    「おぶられたくないなら、鼻緒をすげるしかないだろう?肩に手を置くといい」
    「すみません」
    「ほら、足も膝に置きなさい」
    「それはっ!」
    言われるがままに左肩に手を置いたノイマンだが、続いた言葉に困惑する。そんなノイマンの顔を見ず、悪戯っぽく自身の左膝を軽く叩きコノエは続ける。
    「片足くらいで潰れる僕じゃないが?」
    「でもそんな足蹴にするようなこと……」
    「可愛い恋人の足をみすみす傷つけたりする方がいやなんだ、わかってくれるね?」
    「……ずるいです」
    真剣な眼差しで覗き込むように見上げられれば、ノイマンに勝ち目はない。耳まで赤くしながら差し出された膝に渋々とつま先を乗せる。
    もっとしっかりと体重をかけて構わないのにと思いつつも、言葉にはせず、コノエは袂から手拭いを取り出した。
    「なんてところから出してるんですか」
    「浴衣は袂に物を入れられるのが便利なんだよ」
    そう言ってシャッ、と端を咥えて裂いた。
    手慣れた仕草にノイマンは見惚れるが、コノエは一瞥もくれずに下駄に手を伸ばす。どこでどう覚えたのかなんて聞くことのできない技に視線が釘付けになる。時折コノエの顔を見ればえらく真剣な表情で、思わず息を吞む。何も言うことができず、二人の間には短い時間とはいえ沈黙が流れる。一気に全身の体温が上がるようで、恥ずかしさに足を離しそうになる。しかし、磁力で引き寄せられるかのように動かすことができない。身じろぎさえも伝わってしまうこの状況では、せめて触れた所からこの熱が伝わらないようにと祈るだけだった。
    「足をあげて」
    言われるがままにつま先を離したノイマンの足を取り、下駄を滑らせる。何か言いたげな気配は感じるが、知らないふりをして鼻緒を引く。急拵えとは思えぬ収まりに安心し、名残惜しくもそのまま地面へと足を下ろした。
    「痛いところはないかい?」
    「大丈夫です……」
    思いもよらぬ行動にノイマンの頭は完全にショートしていた。
    ――恥ずかしい――
    手慣れた行動も、愛されている実感も、触れられた手から伝わる熱も、全てが体の芯から温度を急上昇させる。
    首まで真っ赤にして戸惑う様に、コノエはくつくつと笑う。
    「さて、これで行くことも帰ることも出来るが、どうしたい?」
    肩に置かれた手をそのままにコノエは立ち上がり次の行動を促す。優しく笑うが出来ることならばこのまま帰り誰の目にも触れさせたくなどない。しかし、こんな年で色恋に余裕がない所は見せたくなくて、物わかりのいい年上のふりをして選択を委ねた。
    未だに顔を赤くしたままのノイマンは慌てて肩から手を離し、一度少し目を伏せて思案すると、大分頬の朱は落ち着いた笑顔で答えた。
    「帰りましょうか」
    思ってもなかった答えにコノエは何度か瞬きを落とす。確認を問う前にノイマンはスルリと左手の指に自身の指を絡ませた。その行動にもコノエは驚きを隠せない。恋人繋ぎにした腕を軽く引き、もと来た道へ歩みを進めようとするノイマンにされるがまま、一歩遅れて歩を進める。
    歩幅ははじめの小さなものに戻っていた。
    無言のまま早足で帰ろうとする恋人の手の甲に中指を滑らせれば、驚きか羞恥か困惑か、歩みを止めて恨めしそうに振り返る。コノエは優しく目を細め、同じように何度か指先で手の甲を撫でながら問いかける。
    「お祭、楽しみにしてたんじゃないのかい?」
    「独占欲です」
    「ん?」
    「あなたの浴衣姿、誰にも見せたくなくなってしまったんです」
    観念して開き直ったノイマンはコノエを見据えてはっきりと答えた。少しはにかんだ笑みだが、迷いはない。ギュッ、と絡めた指を強く握る。
    思わず微笑み指を握り返せば、花が綻ぶように笑い返される。愛しさに包まれるが、思わず視線が胸元に引き寄せられた。夕方の光は目に毒だ。苦笑しながら耳元に顔を寄せ囁く。
    「僕もその姿を他の人間に見せずに済んで安心してるよ」
    いつものような独占欲を伝えながらも胸元から外されない視線を不審がり、ノイマンも目線をそちらに移せば、そこにはコノエから贈られた下着のシルエットが透けていた。
    「これはそう言うのではなく!!」
    下着が透けていることではなく、透けている下着がコノエからの贈り物なことにノイマンは真っ赤になり慌てて弁明する。
    慌てるところが違うと、頭を抱えるが、セクハラじみた行動を咎められず内心胸を撫で下ろす。
    「見ないでください……」
    もう何を言っても墓穴にしかならないと、不貞腐れながらコノエの腕に抱きつくように後ろに隠れる。首を回してノイマンの方を向こうとするのを言葉だけで拒否する。
    これは自分のせいだと思い仕方なく前を向く。速度を合わせてコノエの歩幅も小さくなった。

    「で、声もかけずにお祭りを楽しんできた、と」
    「馬に蹴られたくないわよ私だって!」
    「よくあの山ザルが静かにしてたわね?」
    「その呼び方やめてよね。あんなの声かけられるわけないわよ……」
    「何の話?」
    「コノエ艦長とノイマン大尉の話」
    「ああ、二人とも足の爪同じ色だったよな」
    「なにそれ……ルナマリア、アタシ聞いてないわよ?」
    「知らないわよ!シンもよく見てたわね……」
    「足なら俺もルナとお揃いに出来るのかなぁ?って思って」
    「ここでイチャつかないでくれる?」
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