Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    ゆきの

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 🌸 🙌 🐱
    POIPOI 46

    ゆきの

    ☆quiet follow

    ずとにで記念で書きました。月食バースのすにさです。
    このすにさは三人交際(すおさくにれさく)です。
    大学生・社会人になっているので三人で同棲をしています。
    月食バースのため受けの体不が含まれます。

    サンクチュアリ「……、あれ。オレ、寝てた……か?」
    「あ、桜さんおはようございます。具合、どうですか?」
    「ぁー……たぶん、ふつう?」
    「多分ってなんすか、自分のことでしょう?」
     ぱちりと目を開けると、ベッドサイドで椅子に腰かけていた楡井がほっとしたように桜の顔を覗き込んだ。最後に覚えている光景はリビングだったはずだから、どうやらまた倒れてしまったらしい。心配そうな顔をしてこちらを覗き込んだ楡井が、そのままちゅっとやわらかく口づけてくる。桜は反射的にんっと目を閉じてその口づけを受け入れ、やさしく触れる楡井の手に身を委ねた。
    「もうちょっとで蘇枋さんも帰ってくるって連絡来てましたよ。よほど心配みたいっすね」
    「ぅ……なんか、ワリィことしたな……」
    「そんなことないです。オレたちは桜さんに頼ってもらえるのがすっごく嬉しいんすから!」
     ふんすふんすと鼻を鳴らしながら言う楡井に苦笑いしつつ、手を引いて起こしてもらう。凝り固まった体をくっと上に伸ばすと気持ちいい。
     まだ安静にしててくださいねと枕の位置を直され、枕を背もたれにして座りなおすと、ちょうど玄関の鍵が開く音がした。かと思えばばたばたと慌ただしい足音が聞こえてきて、次いでコンコンと雑に部屋の戸がノックされる。ちゃんとノックはしてくれる辺り律義な奴だ。
    「桜君、入るよ」
    「おう。おかえり」
    「蘇枋さんおかえりなさい」
    「うん、ただいま。桜君調子は? つらいところない?」
    「へーき。よく寝た」
    「もう、のんきだなぁ。こっちは心配したって言うのに」
     ぶつくさと言いながらも、蘇枋はベッドに腰かけてすっと顔を近づけてくる。桜も顎を少し持ち上げて、ちゅっと降ってきたキスを享受した。
    「ん、ぅ……っ」
     数回角度を変えながら触れ合い、何度目かのそれでちゅく、と唾液を流し込むようにしてより口づけが深くなった。舌が絡んで、どちらのものとも分からないほど混ざった唾液をこくりと飲み込むと、じんわりと体の中心が温まるような気がする。
    「はぁ……」
    「……本当に心配したんだよ。分かってる?」
     わかってる、と半ばとろけつつある声で答えると、蘇枋が肩をすくめて今度は額に唇を押し当てた。
    「まぁでも、呼んでくれてありがとう。桜君が前より素直に助けを求めてくれるようになって嬉しいよ」
    「そ、そーかよ……」
     楡井と同じようなことを言う蘇枋に、桜は思わず頬を火照らせ恥ずかしさに目を背ける。そうするとふふと笑った蘇枋に左手を取られて、今度は左手の薬指に唇が触れた。その様子を見て、楡井も反対隣りに腰かけると桜の右手を取り、薬指に唇を寄せる。どちらの手の薬指にも、三年前につけられた、あの頃から変わらない愛の証が残っているのだ。
     桜は恥ずかしがりながらも、二人から向けられるやさしいまなざしにきゅっと指先に力を込めた。

     医療技術の進歩により新たな臓器が見つかった。その臓器は「核(コア)」と呼ばれ、人間が活動するために必要なエネルギーを生み出す重要な臓器らしい。大体が球体状をしていて、空気に触れると一時的に見えなくなる性質を持つそうだ。だからつまり、死んだ後や手術などで直接見たり触れたりすることはできない臓器なのである。
     この臓器は、人によって生まれつき機能していない部分ができることがあって、それがまるで月食のように見えることから、核のタイプは月になぞらえたタイプで分類されている。その多くは欠けのない満月型だが、桜は生まれつきこの核の左右両方が欠けていて、核の機能している部分が約十パーセントほどしかない、運悪く最も核の機能が悪いタイプだった。
     核の機能していない部分が多いということは、生きていくために必要なエネルギーが不足するということだ。幼いころはよかったが、年齢を重ね、体が成長するにつれて必要なエネルギー量は増えていく。そのため足りない核を過重稼働させることになり、欠けが多いタイプほど寿命は短くなる。桜の欠け月型は、何もしなければ二十歳を迎えることは困難だと言われているのだ。
     幸いというかなんと言うか、桜はあまり大きな不調を感じることなく高校生まで生きてきた。季節の変わり目には風邪をひきやすかったり、疲れやすかったりはしたが、相手に絡まれて必要以上に活動しなければ普通に生活できる程度だったのだ。だが風鈴高校に入学し、ボウフウリンとして街を守るための活動をし始めると、体の成長や活動量もあってか、一気に体の不調が表出し始めた。
     ボランティアやケンカの後は呼吸が苦しくなったり、手足から力が抜けたりして動けなくなる。酷い症状が出る前に路地裏に逃げ込み、桜は人目を避けるようになった。激しい運動が見込まれる日は、苦肉の策で薬を飲んでから登校することも増えた。この薬は一時的に核を過剰に稼働させることにより、不調を起こさないようにするためのもので、結果的に核を過重に酷使させることになる。そうすると反動で翌日酷い不調に襲われるのだが、背に腹は代えられなかった。
     桜は自分の体質をよくよく分かっていた。寿命が短いことも、体がしんどいことも、生まれつきの事で仕方がないと思っていたし、そうでなくとも桜にとって世界は優しくないものだった。だから寿命が短かろうが体がしんどかろうが、これまでは別に構わなかったのだ。
     けれど風鈴高校に入学し、自分を受け入れてくれる場所を見つけてから、急にその事実が重たくのしかかるようになった。少しでも長く仲間たちと一緒に居たい。桜のことを受け入れてくれた彼らに弱いところを見せたくない。だから欠け月型だと知られたくなかった。
     でも加速していく不調を全て隠し通せるわけがない。とうとう蘇枋と楡井といる時に、前触れなくぷつんと意識を失って、桜の核が欠けていることが露呈してしまったのだ。
     目が覚めた時、楡井にはものすごく泣かれたし、蘇枋は静かにものすごく怒っていた。心配したことや、もっと自分を大事にしてほしいやら、いろいろと言われて、最後にパートナーにならないかと二人から提案されたのだ。
     欠けている部分を満たし、核を機能させるために行うのがパートナー契約だ。欠けている側の手の薬指を噛んでもらうことで、そこからパートナーの遺伝子を取り込み、核に繋がる神経を活性化させることで自分を満たすものだと認識させるらしい。本来持っている体の弱さは変わらないし、不調が起きることも変わらないが、頻度を減らすことができ、寿命を越えて生きながらえることができる。けれど桜のような欠け月型は、形だけ見ればぐるりとかじられて残ったりんごのしん、みたいな欠け方なので、欠けを満たすためには満月型が二人必要になる。それに満月型が二人いるだけではだめなのだ。核にはそれぞれカラータイプというものがあって、このカラータイプが近しいものでなければ拒絶反応を起こし不調が悪化してしまうのである。
     ところが蘇枋も楡井も満月型で、桜とはカラータイプも近くて相性は悪くなかった。桜にはこれ以上ない申し出だ。けれどすぐには頷くことなんてできなかった。一度契約をしてしまえば、解除するのは難しい。満月型から解除することはできるが、そうすると解除された側は体調を崩してそのまま命を落とすらしい。二人に自分の命を背負わせたくはなかった。
     学生である自分たちには、未来のことなど簡単に決められるものではない。別に契約したからと言ってずっと一緒に居る必要はなくとも、二人を自分に縛り付けることになるような、彼らの人生を桜が奪ってしまうような気がして、すぐには決断なんてできなかった。
     決断できない間にも桜の体調はどんどん悪化していく。元々そこまで不調がない方がおかしかったのだ。いや、むしろようやく安心できる場所を見つけて、これまで張りつめていた緊張の糸が解けてしまったのかもしれない。急激に悪化していく体調に、いよいよ桜は部屋から出られなくなった。そうやって息が苦しくて、みんなに会いたくて、一人でもがいていた時に、やっぱり側にいて救いあげてくれたのは蘇枋と楡井の二人だった。
     もうこれ以上は待てません、と桜の手を取り、ちゅっと指先に口づけ、だめだと首を振っては眩暈に唸る桜に二人が言う。
    「オレたち決めたんです。桜さんとずっと一緒に居たいから、これからも二人で支えていこうって。それにオレ、……オレ、やっぱり桜さんのことが好きです。誰よりも大切なんです。だから桜さんに、オレのこれからの人生をもらってほしい」
    「オレも同じ気持ちだよ。桜君が好き。友人としても、恋愛としても、ね。君のことを大切にしたいし、誰より側で桜君のことを支えさせてほしい。オレの遺伝子が君の一部になれるなら本望なんだよ」
     真っ直ぐ向けられる気持ちにたじろぐ。気持ちの上では真っ赤になっているはずの体は、不調で血色が悪いままだ。好き、と言ってくれる二人に、心のうちは歓喜に震えているのに、弱った体が追い付いていかない。こんな情けない自分を愛してもらう資格なんてあるのか、本当にこの気持ちを受け取っていいのか、それでもなお決めかねた。
    「そもそも桜さんが悩んでるのって、オレたちのことを思って、なんすよね? オレたちを縛りたくないとかそういうこと考えてるんでしょう? むしろ逆っすよ逆! オレたちの愛を甘く見られちゃ困ります!」
    「にれ君の言う通りだよ。オレたちはパートナーになって桜君の不調がましになったからって簡単には君の手を放してあげられないし、放してあげる気もない。それにだめってことは、いやじゃないんだよね? どうかな桜君。オレたちに捕まって、愛されてくれない?」
     左右それぞれの手を二人に弄られ、桜は羞恥に涙目になりながら身じろぎする。二人は真っ直ぐこちらを見て、桜が頷くのを待っていた。むしろ桜が頷くまで手を放さないんじゃないかと思うほどである。
     でも桜だって、この二人以外とパートナーになる想像は一ミリもできなかった。それにそうでなくとも、二人ほどカラータイプが桜に合っていて、二人同時にパートナーになりたいだなんて思う相手などいない。彼らを選ばないなら、桜は今後誰かとパートナーになることなど一生ないだろう。
    「オレ……こんなだけど、いいのか」
    「何言ってるんすか。オレたちは桜さんがいいんです」
    「そうだよ。それにいくら桜君でも桜君をこんななんて言うのはいただけないかなぁ」
     二人はぎゅっと桜の手を握ったままそう言った。桜はゆっくりと二人を見回して、やわく唇を噛む。
    「桜さん」
    「桜君。一緒に生きよう」
     背中を押すように言われた言葉に、桜はとうとう頷いていた。

     そうして桜は蘇枋と楡井というパートナーを得た。彼らはあの日言った通り全身で桜のことを愛してくれている。桜も初めは助けを求めることも甘えることも上手にできなかったけれど、触れて大事にされるたびに少しずつ与えられる愛に慣れていって、甘えても大丈夫なんだと、本当に少しずつではあるがその気持ちに応えられるようになっていった。
     体の不調も、不調が起きるたびにどちらか近くに居る方が駆けつけてくれてキスをしてくれる。重要なのは相手の遺伝子を取り込むことだから、別にキスでなくともいいのだけれど、二人は決まってキスをしてくれた。大好きだよ、と全身で言うみたいに。
    初めて体を繋げたのは、パートナーになって一年が経った頃だった。このころには三人で同棲を始めて、三人で生活を共にしていた。そうやって三人だけの空間で、ずっと桜の気持ちが追い付くのを待ってくれていた蘇枋と楡井が、もっと触れたいと言ったのだ。桜も同じように触れてほしいと思ったから頷いた。
     やさしく拓かれた体は、満たされるために貪欲に二人を受け入れる。不思議なもので、パートナーになって以降、桜の体はパートナーを受け入れられるように変化したようだ。その変化を、桜自身嫌だとは思わなかった。
     繋げるようになったなら、遺伝子を取り込めば不調が減るなら、中に出してもらえばもっと楽になるのではないか。そう思って言ってみたことがある。桜は教えられるまで知らなかったのだけれど、どうやら変化したこの身体はパートナーの子どもを妊娠することができるらしいのだ。だから中に出すのは本当に子どもが欲しい時だけね、と言われて、真っ赤になってしまったのも懐かしい。核だなんて臓器もそうだけど、人間の体は不思議が詰まっている。

    「それにしても、前よりはっきり分かるようになって驚いたよ」
    「だから悪かったって……」
    「うぅん。全然悪いことないよ」
    「はい。全然悪くないです。ただ桜さんのピンチ! って思うと心臓には悪いし、心が急いちゃうんですけどね」
    「ピンチ……」
     体を繋げるようになってから発現するようになったのだが、二人には時折桜の思っていることが伝わるらしい。欠けが大きいほどこの症状が出やすいらしいのだが、欠け月型や三日月型とパートナーとの間では特殊な共有感覚があるようだ。つまり桜の気持ちや状況が、パートナーである蘇枋や楡井に伝わってしまう、という現象である。
     いつもいつも伝わるわけではないが、二人曰く時折、ふとした拍子に感じ取るようだ。何気ない感情が伝わってくることが多いが、桜の体調が悪い時なんかも伝わったりする。テレパシーのように都合よくメッセージが伝えられるわけじゃないけれど、会いたいだとか、寂しいだとか、嬉しいだとか、そういう気持ちが伝わったり、桜が一人不調に呻いている状況が直感的に伝わるのだ。蘇枋曰く、多分無意識に生存本能が働いて、助けを求める気持ちがパートナーに伝わるんじゃないかな、ということのようだ。
     核についてはまだ分からないことも多いらしいから、蘇枋の言うことが本当かどうかは分からないが、桜の感情が伝わっているのは事実だ。そのおかげで今日も、呼吸器系に不調が出て息が苦しくて気絶した時の桜のSOSが伝わってしまったわけである。二人はすぐに連絡を取り合って、家から近いところにいた楡井が一目散に駆けつけてくれ、蘇枋もこうして急いで帰ってきてくれたのだ。
     二人にだってそれぞれの生活がある。今日だって二人はそれぞれ大学に行っていたのに、授業を放り出させてしまった。桜は大学には通わず就職したが、今日は有給で始めから家にいたのだから、別に少々放置したところで平気だったのに。
     申し訳ない心地でいると、むにゅっと両頬が挟まれた。
    「そんな顔しない! 約束したじゃないっすか」
    「らっへ……」
    「だってじゃないです! 分からないなら分かるまでちゅーの刑に処しますよ!」
    「まぁまぁにれ君。桜君病み上がりだからその辺にしてあげて。でも桜君、まさかまだ分かってないなんてことないよね?」
     にこにこと問いかけてくる蘇枋の様子に、桜は内心冷や汗をかいた。間違った答えを言えば、分かるまでちゅーの刑では済まない。
    「わ、わかっへる!」
    「ほんとですか?」
    「ほんとかなぁ」
     こくこくと頷くと、ようやく楡井は頬を放した。桜は守るように両手で頬をすり、と撫でると、むすりと唇を尖らせる。
     分かっているのだ。パートナーになった時から、二人は何よりも桜を優先するとずっと宣言していたし、実際そうしてきた。二人曰く学校側に申請しておけばパートナーの急な体調不良で授業を抜け出しても、後でその授業を振り替えてもらえるらしい。桜は大学には行ったことがないからその辺はよく分からないが、今どきは三日月型や欠け月型への理解も深まっているからそういう制度がちゃんと備わっているそうだ。だから桜が気にすることはなにもないと言い聞かされている。
     桜ももう気にすまいとは思っているのだが、それでもわざわざ帰ってこさせたことに申し訳なさがないわけではない。特に桜の場合は感覚が伝わってしまっているのだ。二人がどれほど急いで帰ってきてくれたのか分かるだけに、なおさら申し訳ない気持ちになってしまう。
    「うーん、その顔は理解してても納得してない顔だねぇ」
    「っ……!」
    「やっぱり分かるまでちゅーの刑、しときますか?」
    「それも大事だけど、まずはちゃんと納得してもらわないとね」
     頬を守っている手を蘇枋に取られ、赤らんだ頬に指の甲が触れる。そのくすぐったさに肩を竦めると、蘇枋は桜の名前を呼んだ。
    「桜君は例えばオレたちが事故に遭ったって聞いたらどうする?」
    「そんなの、何をおいてもすぐ駆けつけるに決まってんだろ」
    「そうだろう? オレたちだってそれは同じことだよ。桜君に何かあったら一番に駆けつけるに決まってるんだから」
    「そうっすよ。だからそんな顔しないでください。前から言ってるじゃないっすか。悪いとかごめんよりありがとうの方が嬉しいですって」
     確かにそうだ。体調不良など関係ない時だって、いつも二人はそう言ってくれた。二人はあの頃からずっと変わっていない。
    「そう、だよな。……早く帰ってきてくれて、あ、ありがと……」
    「はい!」
    「うん。どういたしまして」
     照れつつ礼を言うと、二人は心底嬉しそうに笑った。桜は二人の様子にふっと肩から力を抜き、そっと二人の手を自分から握る。そうすると二人はきょとんとしてこちらを見た。
     少しずつできるようになってきたとはいえ、桜はまだ甘えるのが得意ではない。だから今思っていることや、この気持ちが二人に伝わればいいなと思った。
    「……なぁ、今の、伝わった?」
     そんな都合のいいものじゃないと分かっていながら、そう問いかけた。目の前できょとんとしていた二人は、そう問いかけた時にはそれぞれに違った反応をしている。楡井は分かりやすく顔を赤らめていたし、蘇枋は耳が赤くなっていたから、どうやらちゃんと伝わったようだ。
    「桜君、あんまりかわいいことしたらだめだよ?」
    「は、ぁ? かわいいことは、してねぇだろ?」
    「無自覚ですか……さすが、オレたちの桜さんはレベルが違いますね……!」
    「何言ってんだ?」
     ぐっと胸元で自由な方の拳を握りこんだ楡井が、悩まし気な顔になる。蘇枋はいつもと変わらない雰囲気を出しているが、少し甘えたな顔で桜を見た。
    「桜君、君がオレたちを大好き~~って思ってくれてるのはすっごく伝わってきたんだけど、してほしいこと、ちゃんと君の口から聞かせてくれる?」
    「ぅ……」
     それが言いづらいから伝われ、と思ったのに、相変わらず蘇枋はこういう時に容赦ないというか、意地が悪い。楡井も顔を赤くしながらも嬉しそうに言葉を待っているのを見ると、もう桜に言わないという選択肢はなくなった。
    「その……だから、わかった、けど、ちゅー、してほしい……」
    「ふふ、ちゅうだけでいいの?」
    「っ……ぎゅうも、したい」
    「もちろんっすよ。ね、蘇枋さん」
    「うん。君の気持ちを教えてくれてありがとう、桜君」
    「ん……」
     照れながらこくんと頷けば、ちゅっと唇が触れ合った。二人に手を引かれて、桜はとろんと視界をとろけさせる。それぞれの愛の形に甘やかされて、桜はずっとこのままでいたいと改めて思った。


    おしまい
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    📒🌸💖💖💖💖💖💖💖👏👏💞☺💒💖💖😭👏😭❤❤❤❤💖💖💖💖💖💖💖💖💖😭😭😭❤❤❤👏👏👏🙏🙏😭😭❤❤❤😭👏☺☺😭💖🌕💖😭👏☺
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works