『青い花は咲く』おまけSSブォー…
部屋に流れるドライヤーの音。潔の艶々とした黒髪を梳くように白い指が動く。遊園地デートを経てお付き合いを始めた二人は、青い監獄に戻っていた。現在、潔の頭にドライヤーを当てている凪の髪はすでに潔により乾かされ、ふわふわな髪質を取り戻している。
「潔、熱くない?」
「大丈夫!」
距離が近くなりすぎないよう、角度を変えながら風を当てる。だいぶ乾いてきたのか、水気を含んでくたりとしていたてっぺんの双葉が復活した。潔はご機嫌なようで、凪の足の間に座り調子の外れた鼻歌を歌っている。さあもう少しだと思ったところで部屋の扉が開く音がしたので、凪はちらりと潔の頭から視線を上げた。
「おかえり、お嬢」
「おー、戻った....ってあの凪が潔の髪乾かしてる...マジか。お前ら中身でも入れ替わってんの?」
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