吸血鬼パロ吸血鬼パロ
いっけなーい!退勤退勤〜!
華の金曜日の夜だが楽しむ余裕も無く、もうすぐ日付を越えそうだ。
ハァとため息を吐いて、ヒョロヒョロなサラリーマンは革靴の先を見つめた。
薄く埃のついた靴は、くたびれた自分と似ていて、靴底から惨めさも伝わってくる。
夜道も自分の気持ちさえ真っ暗だ。
コンビニに寄ってお酒とお弁当でも買おう。帰って作るの面倒くさい。
あーあ、彼女やお嫁さんがいたらきっと晩ごはんを作って、お風呂を沸かして、待っててくれるんだろうか。
恋人はこれまで一度も出来ず、社会人になり、働いていたらいつの間にかこんなだ。
同僚は大学生時代から付き合ってた彼女と入籍するし、先輩は愛妻弁当を毎日食べている。
周りはみんな恋人や奥さんがいて、家族がいて…どんどん取り残されて行くみたいだ。
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