バタン!と勢いのままに開かれた扉に目線を向ける。
呆けた表情を作り、目を一回二回瞬かせる。
「えーっと…ゼアさん?部屋間違えました?」
いやぁ珍しいなぁ。ゼアさんともあろうお方が!と言葉を続けようとして黙る。彼の肌の血色の良さが異常だ。
ぜいぜいと息を荒げる様子にもしや、風邪でも引いたかと予測を立てて椅子から立ち上がる。
「顔真っ赤ですよ。取り合えず俺のベッドでもよけれ、」
言葉が途切れる。
襟を捕まれたかと思えば、床に押し倒されて息が詰まる。
多分、彼らしくない。だから掴んできた腕を軽く叩く。
「ゼア、どうしたんだ」
とにかく現状確認をしたいのにゼアは先程から一言も喋らず、いよいよもって異常さが際立つ。
もう一度、軽く叩こうか。それともエレキで殴れば流石に…そこまで思考を回していた俺の耳に微かな声が聞こえた。
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