シック・2 大通りを歩きながら、三宙は横目に見たビルに設置された時計を確認した。当たり前だが、そっちも自分の腕時計と同じ時間を刻んでいた。
(帰ったらまさかのテッペン越えかー)
歩く速度は普段の三割増で頑張ってはいるのだが、遠くないとはいえどう頑張っても着くのは零時を過ぎるだろう。おまけに、行きより荷物も増えている。
サクッと進捗を報告して相手の気分を悪くさせない程度で切り上げるつもりが、スポンサーや協力してくれている店の人間が色々と集ってしまい話が思いの外盛り上がった結果、展示会のポスターのサンプルが数種類出来上がっていた。
(なんかオレの帰り気にしてたしな、四季。ちょっとヤバいかも)
三割増からもう一段階切り替えて、走り出す。貰った手土産はドーナッツだとか言っていたはずだから、多少振り回しても大丈夫だろう。
2663