輝きに焦がれて「迷わない」
「祈り」
「指先を掠めて」
びちゃりと音を立てて崩れ落ちた血肉を眺めていると、カツカツとヒールの音が響くのに気づいた。近距離で放ったアスカロンで自身は返り血に塗れており、デリザスタはすぐに洗浄魔法をかけて杖を袖にしまった。
「またやったの、デリザ」
「マジメな顔してガミガミうるせーんだもん。タバコくらい良くね?」
現れた女性は黒いキャップにタイトスカート、ベルトの下がるオーバーサイズのジャケットを着て立っていた。
グリーンとオレンジの偏光加工がされたサングラスを外す。つぶらで大きな瞳がじっとりとデリザスタを睨んだ。ぱっちり開いた瞳が持つ愛らしさは、不満につり上がればそのまま迫力へ変換される。ステージに立つ顔よりも、素の強い意志が垣間見える顔が、デリザスタは大好きだった。か弱く庇護欲をそそる顔立ちからはかけ離れ、この女は特別肝が据わっている。
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