さやけきひとみにご用心 明くる月曜日、山田くんはめずらしく遅刻ギリギリで教室に入ってきた。いつもは私が登校するころにはもう当然のように自席にいて、さわやかに挨拶してくれるけれど、あの日はそうはならなかった。
だからじゃないけれどいつものお返しのつもりでこちらからおはようと声をかけると、少しだけ目を丸くしながらいつもよりは小さな声でおはようと返してくれた。
なにか下手なことを言えばまわりで耳聡く聞いているだろう誰かにツッコミを入れられかねないから、余計なことは言わず、声と目に敵意はないよ~、なにも聞かないよ~って気持ちを込めたつもりだ。それがちゃんと届いたのかはわからないけれど、山田くんはちいさくうなずいて席に着いた。
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