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    ふすまこんぶ

    @Konbu_68
    ワンクッションイラスト/小説置き場

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    ふすまこんぶ

    DONE「紫苑」のおまけその2(またか)、旦那氏×将軍。
    晩年の旦那氏と、死後の2人の話です。
    紫苑 ─one year and after─余命1年と聞かされた時、真っ先に頭に浮かんだのは、残された妻はどうなるだろうかという不安だった。

    ずっと体調が悪い日々が続いていた。いつものことだからと特に気にも留めていなかった。妻と一緒に夜ご飯を食べていたある日、突然吐き気を催して、トイレで胃の中のものを全て戻してしまった。吐瀉物には僅かに血が混ざっていて、血相を変えた妻にすぐに病院へ連れて行かれた。
    自分の身が病に侵されていることを知ったのは、検査を受けた翌日だった。
    その病気自体は、特に高齢な人間が患いやすいもので決して治らない病じゃない。治療薬もちゃんとある。しかしそれは早期に発見できればの話で、僕のように末期に近い人間には手遅れだった。
    去年の健康診断では異常なしだった。おそらく、元々体が弱いために一気に病気のレベルが進んでしまったのだろうというのがお医者さんの見立てだ。普通の人なら、今からでも治療を開始すればそれなりに進行を遅らせることができるらしいけれど、虚弱な自分の場合は、多少進行を遅らせたとしても体のほうがもたないだろうとも言われた。
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    ふすまこんぶ

    DONE※腐向け
    ※流血描写有り

    先日Twitterに投稿した漫画「降伏直後の長官と副官の話」を自分で文章にしたものです。
    書いてるうちに後付けで設定が増えていつの間にかこんな量に…いや元から考えてたのもあるんだけど!やっぱり小説だと心情描写に力入れちゃうから…!
    何気にネットで小説発表するの初めてなので恥ずかしい。
    [セルフノベライズ]降伏直後の長官と副官の話「総員ここで待機!以降は自由同盟に従うように!」
    港にドラコルルの凛とした声が響いた。着岸したクジラ戦艦から隊員が全員降りたのを確認し、右手を上げて指示を出す。つい先刻まで悠々と宙を飛んでいた艦は、今や無数のヒビ割れや焦げに覆われ見る影もなく、隊員たちの背後で力なく波に揺られていた。
    「長官!」
    傍に控えている男の呼びかけに、ドラコルルは振り向いた。
    「自分は──」
    「君にはここの兵の統括を頼みたい」
    焦ったような副官の声の途中に、ドラコルルは静かに答え、背を向けた。今副官の声を聞いたら、顔を見たら、堰を切って感情が漏れてしまいそうだった。これが最後であろうことは分かっている。しかし、軍人として、上官として、男として、大勢の部下たちの前で醜態を晒したくはないという、そのプライドが彼を押し留めていた。
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