ラプンツェルパロ
魔法使いのヌヴィレットは人間を飼っている。
いや、まあ、飼っている、というのは正確な言い方ではない。
彼はその人間を深く、深く、愛しているからだ。
誰も立ち入らない森の奥、高く高く聳え立つ塔の一番上にしまい込んでしまうくらいには愛している。
ある日、彼はラプンツェルが欲しい、と言った夫婦に対価として夫婦の子供を寄越す様に要求した。
彼からしたらラプンツェルに釣り合いがとれて、夫婦が対価として渡せる物がそれしかないと踏んだからだ。
子が生まれ、フリーナと名付けられた赤子がヌヴィレットの下へと送られてきた。
一人で行う育児はとても大変で返そうか本気で考えた時期もあった。
しかし 、成長したフリーナが自分のことを親のように慕い、可愛らしい初恋を示し始めたころ、ヌヴィレットの中で一つの欲が生まれた。
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