君がもしもいなくなったら、私は。 夜も深くなる時間。私は布団に寝転がって、本を読んでいた。
「ん~……眠い」
隣で欠伸をし、眠たげにしている私の妻――朝火は先ほどまでいじっていたスマホの電源を落とし、寝る準備を進めていた。
だが朝火は寝る時に必ず私の腕に絡み、抱き寄せて眠る。本を読む側としては読みづらい体制になるので、正直あまりしないでほしいというのが本心だ。
「朝火、読みづらいのだが?」
「いいじゃないですかー。私のこと重くないんでしょう?」
にこにこと笑いながら、私を見つめている。
「それは、そうだが」
じゃあいいじゃないですか、といってさらにすり寄ってくる。別にいいといえばいいのだが、最近そうされると私の心は穏やかではなくなる。
1997